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ビッグデータ分析ビジネス―その可能性と課題

ビッグデータ分析による"人間理解の深化"がビジネスを加速させる―トランスコスモス・アナリティクス 萩原雅之氏インタビュー


データ活用の優劣がビジネス成功の鍵を握ると言われるようになって久しいが、企業マーケティングの世界ではビッグデータを活用した取り組みが早くも始まっている。2012年5月に設立されたトランスコスモス・アナリティクスの副社長を務める萩原雅之氏は、この分野における第一人者だ。そんな同氏に、ビッグデータビジネスの最新事情について話を聞いた。

マーケティングの世界に一大変革を巻き起こしたビッグデータ

トランスコスモス・アナリティクス株式会社 
取締役副社長 萩原 雅之氏
 トランスコスモス・アナリティクス株式会社 取締役副社長 萩原 雅之氏

─ まずは、トランスコスモス・アナリティクスという会社を新たに設立された目的と経緯を教えてください。

 トランスコスモス・アナリティクスは、CRM分析やマーケティングコンサルティング業務に特化した、トランスコスモスの100%子会社です。トランスコスモスの主な事業領域はアウトソーシングサービス、特にコールセンターとBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)、デジタルマーケティングの3つの領域を得意としていますが、近年では単に業務オペレーションを請け負うだけでなく、付加価値の提供が求められています。

 例えばコールセンターであればコールログの分析、BPOなら顧客データベース分析、デジタルマーケティングでも単にWebサイトを構築するだけでなく、Webアクセスログの解析サービスを付けることが当たり前になっています。これらはすべて、“ データ” に焦点を当てることで、既存のアウトソーシングサービスに新たな付加価値を提供するための取り組みです。

 さらにここ4、5年の間で、これらのデータに加えて、ソーシャルメディアやセンシングデータといったいわゆる“ ビッグデータ” の活用が注目を集めるようになりました。トランスコスモスでは約10年前から社内に専門の部署を設けていますが、近年はコールログやWebアクセスログとソーシャルメディアデータを統合してより詳細な顧客分析を行うといった、より高度な付加価値サービスを提供してきました。そして2012年5月からは、こうしたサービスをより強化するべく、この部署をそのままトランスコスモス・アナリティクスという別会社に移管したというわけです。

─ 確かにビッグデータに対する認知度は、ここ数年間で一気に高まったように思います。では、ビッグデータがビジネスに与えるインパクトとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

 私の専門はマーケティングなのですが、ここ4、5年の間で、マーケティングに利用できるデータの量と種類が、飛躍的に増えてきました。その背景には、今までアナログでしか捕捉できなかった情報が、技術革新によりデジタルデータ化されたことがあります。例えば、新商品についての消費者の評判を知りたいと思ったとき、従来はアンケート調査しか方法がありませんでした。しかし今では、Twitterで商品名をキーワードに検索をかければ、何千、何万という消費者の生の声を簡単に拾えるようになりました。またソーシャルメディア以外にも、Webサイトやスマートフォンやデジタルサイネージなどセンサー機能を持つデバイスを通じて、自動的に大量のマーケティングデータを収集できます。

 つまり、これまではアナログなものだと思われていた人間の感情や意識、行動などが、デジタルデータとして大量に、かつ機械的に捕捉できるようになったわけです。これは5年前にはとても考えられなかったことで、マーケティングの世界に大きな変革をもたらしつつあります。

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注目のビッグデータ活用法「ソーシャルリスニング」とは?

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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