ベネトンが実現した「ゆるく」「カジュアル」なシステム連携とは
カジュアルからエレガントまで、あらゆる生活シーンにあわせたトータルブランドを展開しているベネトングループ。その日本法人であるベネトン ジャパン株式会社は、日本全国にある直営店から収集されるPOSデータを管理し、マーケティング活動を行っている。この度、グローバルマーケティング活動の一環としてイタリア本社にて、データウェアハウス(DWH)を構築し、全世界の販売情報をXMLフォーマットにて収集するプロジェクトに着手した。同社ではイタリア本社とのデータ連携ハブにASTERIA WARPを採用した。
今回セッションをおこなう管理本部システムDivisionの大網東市部長によると、このプロジェクト自体が、ベネトンらしい「カジュアル」なものらしい。
イタリア本社ではBI/DWHシステムを採用している。そこに連携させるシステムの要求自体もいかにもイタリア流の「ゆるく」かつ「変化にとんだ」もの。手組みによるコード開発を捨て、データ連携ツールで高速開発した経緯と現状、今後の課題について、事例発表後の最新の情報が提供される予定。
コマースサイト担当者も必見、EC店舗のデータ連携・統合による進化したデータ連携
今回のベネトンの発表の注目点は、この取組みが行われて数年を経た現在、同社のシステムがどのように進化しているかである。注目は「リアル店舗のPOSデータ連携」を完了した同社による、楽天、ZOZOTOWN、DeNAなど「コマースサイトの多店舗展開」による販売データの連携・統合」の取り組みが紹介されることだ。
コマースサイトをはじめ、多くのネットショップにとって、売上管理、配送管理、在庫管理などのバックオフィス業務の自動化、効率化が課題になっている現在、情シス部門をはじめ、ECサイトの管理者にも参考となる発表になるだろう。
すみだ水族館、京都水族館が導入した先進のチケット発券システムとは
もうひとつの事例の目玉は、2012年にオープンした「すみだ水族館」「京都水族館」を運営するオリックス不動産の事例だ。講演をおこなうのは、同プロジェクトを手がけたパナソニックインフォメーションシステムズ(パナソニックIS)のソリューションビジネス本部 井上温子氏。
具体的にはスピーディに来館者を案内するチケット発券システムをはじめレストランの飲食、購買、財務会計など「水族館業務全体のシステム化」を実現した内容が紹介される。
パナソニックISが採用したのは物販用のPOS、レストラン売上管理の財務会計のSaaSなどの各種のパッケージで、それらを連携するためにASTERIA WARPを採用した。各水族館でのチケット発券システムのマスタの同一化、自動同期、財務会計への連携など、「つなぎ」のシステムの迅速な構築により、ゴールデンウィークなどのピーク期でのデータ連携処理や来場者へのクーポン、マーケティングなどの活用の事例も紹介される予定。
基調講演の内山悟志氏、特別講演の南波幸雄氏が語る「データ重視経営」
以上の事例に加えて基調講演で、株式会社アイ・ティ・アール代表取締役/プリンシパル・アナリスト内山悟志氏が『データ重視経営とそれを支える情報基盤のあり方』と題し、企業内外のデータの連携活用の考え方と経営への活かし方を語る。
また元産業技術大学院大学教授の南波幸雄氏は「情報システムアーキテクチャー」の考え方に立ち、環境変化に情報システムを適合させるためのアプローチを紹介する予定。
内山氏、南波氏とも、CIO、経営層向けに、「経営戦略とデータ」という重要な視点を提供してくれるにちがいない。