前回および、前々回は、ビジネスモデルの1つ目の柱である「プロダクト革新」について解説しました。今回からは、ビジネスモデルの2つ目の柱である「顧客インターフェース」について解説します。まずは、顧客インターフェースの1つ目の構成要素である「ターゲット顧客」からスタートしていきましょう。(過去の連載は、こちらから。)
「“ストーリー”としてのビジネスモデル」の精度は「顧客インターフェース」が重要
ビジネスモデルを構成する2つ目の柱は、「顧客インターフェース」です。顧客インターフェースとは、「事業体の顧客の特定」と「顧客への価値を提供する仕組み」を説明するものです。この柱は、「ターゲット顧客」、「チャネル」、「顧客リレーションシップ」という3つの要素から構成されます(図1)。

次に、「価値提案」と「顧客インターフェースを構成する3つの要素」の関係性を、概念モデルを使って表現してみましょう(図2)。以前の記事でご説明したとおり、「価値提案は、ターゲット顧客に価値を提示する」、「チャネルは、価値提案を届ける」、「顧客リレーションシップは、ターゲット顧客を維持する」のように理解して下さい。

“八方美人”的なビジネスモデルは通用しない-ターゲット顧客の定義
ピーター・ドラッカーはかつて、「事業とは何かを知る第一歩は、顧客は誰かを考えることである」と言いました。供給が需要を上回り、顧客ニーズが多様化している現代においては、全ての消費者ニーズを満足させ、顧客が抱える問題の全てを解決することができる事業体は存在しません。したがって、自社のターゲットとする顧客像をできる限り具体的にイメージすることが非常に重要になります。

また、ターゲット顧客が異なれば、その顧客と接するためのチャネルも、確立または維持したいリレーションシップも異なる場合があります。さらには、その収益性や獲得維持のコストも違ってくるでしょう。
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白井 和康(シライ カズヤス)
ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。
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