DB2はプロでなくても使いたい用途に簡単に最適化できる
「新しいDB2は、これまでのDB2と同じです。いままでのまま、DB2をアップグレードするだけで高性能を発揮できる。そしてもう1つが、それを極めて簡単に実現できます」(白井氏)
白井氏は、1992年に日本IBMに入社、DB2 Ver1が世に登場した1994年からずっと、エンジニアとしてDB2の担当をしてきた。日本IBMの中でも、DB2のプロ中のプロだ。
「DB2は、ある意味くそまじめに作られています(笑)」これが、白井氏の長年の経験から出たDB2に対する印象。これまでのDB2は、その“くそまじめ”な作りによって高性能、高機能なデータベースに仕上がっている。とはいえ、その高性能、高機能が故に、必ずしも使いやすいデータベースと言えない面もあった。
「飛行機の操縦席のように、スイッチなど操作するものがたくさんあるような状況でした」と白井氏。設定すべきパラメータなども多く、その詳細まで顧客は知らない。なので、このパラメータを調整し、インデックスをこう張るとこんなに速くなる、DB2のプロとしてそれを客先で披露できれば、顧客はその「技」を賞賛してくれる。
「うまくいって顧客に喜ばれると、DB2の神様になったようで気分がいいものでした。エンジニア的には、実力を発揮できる世界であり、DB2を扱う甲斐もあったでしょう」(白井氏)
とはいえ、1人ですべての顧客に対応できるわけではない。思い通りに使いこなせないこともあり、それでは困ってしまう。DB2では、そんな顧客の困っている状況を簡単に解決できる。それが"db2set DB2_WORKLOAD=XXXXX"という設定。”XXXXX”のところに”ANALYTICS”と入れテーブルを作成しデータをロードすれば、分析に最適な最新のBLUを使った環境が自動的にセットアップされる。”XXXXX”の部分にはさまざまな指定が可能で、たとえばERPのSAPに最適化する”SAP”といった設定も可能だ。
「この機能があれば、私や私のチームの人間が顧客先まで出向かなくても、簡単にデータベースを高速化できます。この簡単に設定できる機能は、DB2をブラックボックス化した結果ではありません。"SAP"という設定のまま、さらにSAP BWを使うためにBLUを使うようにも設定できます。業務ごとに個別設定するなど、柔軟な調整ができるので」(白井氏)
もう1つ白井氏が注目しているのが、クラスタリングの仕組みであるpureScale。Oracle Real Application Clustersと同様の、シェアードディスク型のデータベース・クラスタリングだ。ともすると、先行するOracleの後追い的なものと捉えられることもあるが。
「めっそうもないです。IBMとしてきちんとメッセージが伝わっていないというのはあるかもしれませんが、Oracleの背中を追いかけてきたようなものとはまったく異なります。今回のpureScaleはたしかにOracleよりは遅く登場しましたが、これはある意味後出しじゃんけんなので、絶対負けません」(白井氏)