イノベーションは「考える組織(シンク・インク)」から生み出されるもの
前回ご紹介した『コネクト』に続き、本書『会社をつぶせ』もイノベーション組織づくりのための処方箋となる一冊です。「コネクト」がイノベーション組織の特徴を鮮やかに描き出したのに対して、本書は著者のこれまでのコンサルティングの経験に基づいたアクションプランも提示する内容になっています。
タイトルの「会社をつぶせ」ですが、原題は「Kill the Company」、副題は「End the Status Quo, Start an Innovation Revolution」になっていて、「イノベーション組織を作り上げるために既存の組織をぶち壊してしまえ!」といったメッセージが込められています。
日本語の副題が『「ゾンビ組織」を「考える組織」に変えるイノベーション革命』となっているように、本書全体を通じて「ゾンビ組織」と「考える組織」の対比が語られています。
ゾンビ組織を一言でいえば、「思考停止」状態の組織を指しています。言われたままのことはやるがそれ以上のことを自発的に行おうとしない日和見的組織のことです。こうした組織では、現状維持が好まれ、リスクを取って新しいことをすることが嫌われます。失敗に対する耐性も低く、変化は段階的にしか起こりません。
なぜゾンビ組織がダメなのか。イノベーションはこのようなゾンビ組織からは生まれないためです。イノベーションは、新しいことにリスクを取りながら前進する組織にのみ育まれます。
本書では、イノベーションを生み出す組織を、自ら考え行動する組織として「考える組織(シンク・インク)」と呼んでいます。「考える組織」は、「疑問、興味、責任感、創造的な問題解決、主体性を呼び起こし、奨励する」組織なのです。「ゾンビ組織」は追従型の組織であり、「考える組織」は自発性、自主性の組織であると言えます。