思考停止の組織から「考える組織」へ-組織文化を殺す5つの要因を乗り越える処方箋
(第6回)イノベーションに効く翻訳書03:『会社をつぶせ―ゾンビ組織を考える組織に変えるイノベーション革命』
「考える組織」のヒントは、北欧の自主性・自発性に着目した教育にも存在する
実は、世界のイノベーションシーンをリードする北欧諸国では、こうした自主性、自発性に着目した教育が長きにわたって実践されています。
北欧の企業では社員の自発性が高いため、ミーティングの時間が極めて短いと聞いたことがあります。それぞれの社員が自分でやるべきことを把握しているため、ミーティングで課題を取り上げると、あっという間に誰が何に取組むかが決まり、さっとミーティングを終えて、各自の課題に創造的に取組むことができるというのです。
神戸で「ラーンネット・グローバルスクール」という探求思考をテーマにした教育を行われている炭谷俊樹さんは、コンサルティング会社勤務時代にデンマークに駐在し、まさにこの自主性育成の探究型教育に触れられました。帰国後日本において探究型教育の機会が乏しいことに危惧され、一念発起して自ら学校を設立されたのです。

炭谷さんが感じられたように、日本では自主性・自発性よりも、いわゆるIQ的な、与えられた課題をより早く正確に解くことが求められてきました。こうした人材は、経済成長期の「追いつけ追い越せ」の時代には迅速に国家や産業を形作ることに大きく貢献することが出来ました。
しかし、その結果先進国の仲間入りをし、その先進国自体も成熟化した現在、もはや解くべき問題すらも明らかではない複雑な時代のなかで、時代が求める人材像も本書で著者が指摘するような「考える組織」を担う人たちである必要性が出てきています。
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岩嵜 博論(イワサキ ヒロノリ)
株式会社博報堂 コンサルティング局ストラテジックプラニングディレクター
博報堂において国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、近年は生活者発想によるビジネス機会創造プロジェクトをリードしている。専門は、エスノグラフィックリサーチ、新製品・サービス開発、ビジネスデザイン、ユーザ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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