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VMware NSXの国内採用事例を発表--NTT Com、ニフティ、関電システムソリューションズが採用の理由を解説

 


 ヴイエムウェアは11月6日、ネットワーク仮想化製品「VMware NSX」が国内の複数のサービスプロバイダーに採用されたと発表した。VMware NSXはオーバーレイ型のネットワーク仮想化を実現する新製品。年末リリースに向けて、一部の顧客に対するベータプログラムが進められている。今年6月にはNTTコミュニケーションズのエンタープライズ向けクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」の採用事例(旧製品のNiciraの事例)がリリースされていたが、今回は、それに続き、同社のパブリッククラウドサービス「BizホスティングCloudn(クラウド・エヌ)」でも採用されたことを発表した。また、ニフティと関電システムソリューションズが、VMware NSXベータカスタマープログラムに参加し、それぞれパブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」の基盤として、大阪のデータセンター2拠点の基盤として、NSXの検証を行っていることを発表した。

NSXは、サーバ仮想化の次のステップの仮想化を実現するものとして重要になる

   NTT Com 田中氏
NTTコミュニケーションズ 
クラウドサービス部長の田中 基夫氏

 発表会には、ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏、米VMwareのCEOのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏、米VMwareネットワーク担当CTOマーティン・カサド(Martin Casado)氏が参加。また、NSX利用企業として、NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部長の田中基夫氏、ニフティクラウド本部クラウド事業部長の上野貴也氏、関電システムソリューションズITサービス事業本部ITサービスインフラ構築部部長の角野俊朗氏が参加し、利用の経緯や期待を語った。

 NTTコミュニケーションズの田中氏は、採用に至った理由として、同社の「グローバルクラウドビジョン」との親和性を挙げた。グローバルクラウドビジョンは、ネットワークを含む統合されたICT環境をクラウドとしてグローバルに提供することを推進するもの。田中氏は「同じ方向に向かって一緒にやれることがあるのではないかと検証や研究開発を行った。VMwareはソフトウェアプロバイダーで、われわれサービスプロバイダーと立場は異なるが、向かっている先は同じだ」とした。

 BizホスティングEnterprise Cloudでは、NSXを顧客のデータセンターとNTT コミュニケーションズのデータセンターの間で仮想的なトンネル掘り、データをマイグレーションするサービスに用いている。オーバーレイ型の製品でL3ネットワークを拡張できるため、移行にあたってIPアドレスの再設定が必要なくなるというメリットがある。一方、Cloudn(クラウド・エヌ)では、NSXとOpenstackを組み合わせて、同社のVPNサービス「Arcstar Universal One」とCloudn(クラウド・エヌ)などのパブリッククラウドといった別々のネッワークを同じネットワークのように扱うことができるようにした。

NTTコミュニケーションズの「BizホスティングCloudn(クラウド・エヌ)」新サービスの概要

 「将来的には、顧客のオンプレミス環境、クラウド環境、コロケーション環境などICT環境全部をSDNで接続し、シームレスに管理できるようにしたいと考えている。Software Defined Everythingとして使うためにも、VMware製品はキーファクターになる」(田中氏)

 ニフティの上野氏
ニフティ ニフティクラウド本部
クラウド事業部長の上野貴也氏

 ニフティの上野氏は、2005年にVMwareのサーバ仮想化を全導入したことが採用の背景にあったと説明。VMwareを標準環境に採用することでIT投資を60%削減したという。2010年からクラウド事業としてニフティクラウドを開始し、現在製品の評価をしている段階だ。「クラウドを提供するユーザーの視点で見ると、NSXには、利用効率の向上、スケーラブルな運用、外部との接続性という大きく3つのポイントがある」という。

 利用効率の向上は、VLANやMACアドレスの制約を超えることで、物理ネットワークに対してフラットなコンピューティング環境が構築すること。制約により分割されているリソースプールを統合することでインフラの利用効率が向上する。同社の試算では、リソースプールの規模を3倍にした場合、インフラの原価は30%削減できるという。

 スケーラブルな運用は、データセンターのネットワークを集中管理できるようにすること。ネットワークの分野では、規模がスケールするとその分、運用人員を増やす必要があるなど「運用がスケールしない」状況にあった。「NSXを使って、これまで遅れていたネットワークの世界の集中コントロールを実現したい」という。

 3つめの外部との接続性は、ニフティクラウドとプライベートクラウドを接続すること。エンタープライズ分野は半分以上がハイブリッドクラウドを採用しており、オンプレミスやデータセンターのハウジング環境、閉域網などとつないでいく必要がある。「IPアドレスを変えたくないという要望も多く、NSXでそれに応えていきたい」とした。

 関電システムソリューションズ 角野氏
関電システムソリューションズ
ITサービス事業本部ITサービスインフラ構築部
部長の角野 俊朗氏

 関電システムソリューションズは、2012年から大阪のデータセンター2拠点で検証用のクラウド環境を準備して、NSXを検証している。解決すべき課題としては、拠点間ネットワークの再設計が手間だったこと、ネットワークが複雑化し、維持管理、変更作業に工数がかかっていたこと、VLANの競合や枯渇が起こっていたこと、災害対策でサーバ再起動するとネットワーク再設定が必須だったこと、大規模ネットワークを維持するために技術者を育成する必要があったことを挙げた。

 「検証の結果、パフォーマンス劣化がなく、セグメントが異なるクラウド間をシームレスに移動できることを確認することができた。今後は、提携するデータセンターのクラウドと相互接続してサービスの可用性を高めたり、クライアントの多様化に対応していきたい。また、ファイアウォールやロードバランサ、ストレージを含めた仮想化も必要になってくるが、VMwareのリーダーシップを期待している」(角野氏)

 なお、ユーザー紹介に先立ち、ゲルシンガー氏が、今日のITインフラストラクチャに求められる要素やSoftware-Defined Data Centerの進捗を説明した。ITインフラの必要事項としては、仮想化をITのすべてに分野に拡張すること、運用管理を自動化すること、どこからでも利用可能な互換性のあるハイブリッドクラウドを構築することの3つがある。Software-Defined Data Centerはこれらを実現していくもので、サーバ、ネットワーク、ストレージ、自動化という4つの側面から製品強化を図ったという。特に、NSXは、サーバ仮想化の次のステップの仮想化を実現するものとして重要になると話した。

左からカサド氏、上野氏、ゲルシンガー氏、田中氏、角野氏、三木氏

【関連リンク】

国内サービスプロバイダーについてのプレスリリース

NTTコミュニケーションズのNSX採用についての今年6月のプレスリリース

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この記事の著者

齋藤公二(サイトウコウジ)

インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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