SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2025 春の陣(開催予定)

2025年3月18日(火)オンライン開催

Enterprise IT Women's Forum

2025年1月31日(金)17:00~20:30 ホテル雅叙園東京にて開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

イノベーターの本棚

「競争優位の戦略論は、もう時代遅れである」/企業戦略の根底を支える新たな方法論とは? 

(第15回)イノベーションに効く洋書06:“The End of Competitive Advantage: How to Keep Your Strategy Moving As Fast As Your Business”

新規事業の計画法から、企業戦略の中心理論へ

 著者のリタ・マグラスは、イアン・マクミランと共に1995年に「Discovery-Driven Planning」を発表し、不確実性下の事業計画は、成功の前提となる仮説に焦点を当てることが不可欠であること、そして、その仮説をいつ・どのように確認するかが、事業計画の本質であることを指摘しました。ここでの「Discovery」とは、気付きや学習を意味する言葉です。事業計画立案時の仮説は仮説に過ぎず、そもそも外れて行くものであるから、いつ・どのようにそれぞれの仮説を確認するかを怠ると、事業が大失敗に終わるまで気付かない、という状況に陥ると指摘します。このことを防ぐための事業計画法が「Discovery-Driven Planning」です。これは、主に新規事業を対象としていました。
*「Discovery-Driven Planning」の詳細に関しては、ビズジェネ連載記事『不確実な時代のビジネスプランに求められること-「仮説指向計画法」が必要な理由』で詳細に解説しております。

 この考え方は、2009年にやはりマグラスとマクミラン共著の“Discovery-Driven Growth”の中で、事業実行のプロセスとして発展します。更に、2013年に刊行された本書で、仮説立案と検証・修正は、企業の戦略の根底を支えるものだ、と強く訴えています。

 このように、筆者の研究テーマを時間軸で俯瞰すると、筆者が90年代には企業内の一つの活動として位置付けていたイノベーションが、事業環境の不確実性の高まりと、筆者の研究活動の進展とともに、企業戦略の中心にあるべきものであると確信していく変化が見て取れます。

図2:リタ・マグラスによるイノベーションの社内的位置づけの推移
図2:リタ・マグラスによるイノベーションの社内的位置づけの推移

 本書の中には、やや極端(理論づけとしては強引)とも思える事例も紹介されていますが、多少の批判を覚悟しても、「競争優位の維持は幻想であり、イノベーションこそ重要だ」と訴える、筆者の迫力が伝わってきます。イノベーションの重要性を、個別の製品・サービスのレベルではなく、企業レベルの競争優位に結び付けている点が本書の特徴です。イノベーションを経営者の視点で語る良書だと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
イノベーターの本棚連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

小川 康(オガワ ヤスシ)

インテグラート株式会社代表取締役社長東京海上火災保険に勤務後、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授の研究センターに2年間勤務し、不確実な時代のビジネスプランニングを学ぶ。ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。インテグラートは、研究開発投資や新規事業投資、M&A等の戦略投資の計画立案と意思決定を支援するビジネスプランのシミュレーションソフトを開発・販売し、関連するコンサルティング・研修を提供している。著書に『...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/5425 2014/02/07 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング