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「競争優位の戦略論は、もう時代遅れである」/企業戦略の根底を支える新たな方法論とは? 

(第15回)イノベーションに効く洋書06:“The End of Competitive Advantage: How to Keep Your Strategy Moving As Fast As Your Business”

社内のイノベーションの種を生かせるか?

「業種」ではなく「アリーナ」で考える

 競争優位の確保が難しくなっていることについて、筆者は「アリーナ」という概念を提唱しています。音楽CDや書店がネット・スマホでの販売と競合するように、業種内で考えるのではなく、自社の陣地(縄張り)の拡大を目指すべきだ、という考えです(図1)。チェスのように敵を直接攻撃するのではなく、囲碁のように陣地(縄張り)の最大化を目指すべきだ、というのは面白い考え方だと思います。

業種視点とアリーナ視点の比較
図1:業種視点とアリーナ視点の比較

我々は、自分達の行く末をコントロールできない

 イノベーションに取り組む企業の例として、Sagentia社という技術コンサルティング企業が紹介されています。顧客企業が新たな競争優位を求めるニーズに対応するため、コンサルティング業であるSagentia社の組織も柔軟に変化するようになっています。Sagentia社の経営幹部が「我々は、自分達の命運をコントロールできない」と語っているのですが、この言葉が、これから多くの会社が向かうであろう方向として示されています。一貫した継続的なイノベーションと、顧客にできるだけ密着することが唯一の解決策だ、と筆者は語ります。

社内のイノベーションの種を生かせるか?

 興味深いことに、コダックは1985年当時に、社内で銀塩フィルムの衰退を指摘する情報を持っていた、というエピソードが紹介されています。1985年といえば、富士フィルムが銀塩フィルムの将来に危機感を持ちデジタル化に動き始めたのとほぼ同じタイミングです。

 具体的に語られているエピソードとして、下記が紹介されています。

 コダックへの転職を希望していた技術者が、コダックでの採用面接で、技術の未来は、フィルムではなくビデオレコーダーのような新しい技術にあることを指摘していたのです。写真フィルムに未来がないことを転職の面接で指摘した技術者は、面接官の機嫌を損ねて不採用になるかと心配しましたが、無事コダックに採用されました。にもかかわらず、コダックは結果的に事業転換できず、破綻に至るわけです(その技術者は、実は、筆者の父だったということで、このエピソードが具体的に書かれています)。

 それに対して、富士フィルムは、劇的な改革に成功しました。筆者は、この事例から、組織的なイノベーションにつながる可能性のある社内情報が活かされない問題も指摘しています。現場では、経営陣が気付いていない重大な問題に気付いていることがあるわけです。

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新規事業の計画法から、企業戦略の中心理論へ

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この記事の著者

小川 康(オガワ ヤスシ)

インテグラート株式会社代表取締役社長東京海上火災保険に勤務後、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授の研究センターに2年間勤務し、不確実な時代のビジネスプランニングを学ぶ。ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。インテグラートは、研究開発投資や新規事業投資、M&A等の戦略投資の計画立案と意思決定を支援するビジネスプランのシミュレーションソフトを開発・販売し、関連するコンサルティング・研修を提供している。著書に『...

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