野村総合研究所(NRI)は12月3日、メディア向けのフォーラムを開催し、ICTを教育の現場で活用する「スマート教育」の最新動向や先進事例を紹介した。スマート教育とはNRIの定義によると「教育のあるべき姿と現状のギャップを、ICTを利用することで埋めるもの」となる。ICTを含めた各種ツールで学習をサポートすることで、教育する側の負担を減らしつつ、学習する側が自分に合った方法で学習できるようにするものだ。
「スマート教育」市場、2020年までに2580億円規模に

コンサルティング事業本部消費サービス・ヘルスケアコンサルティング部副主任コンサルタントの松田裕之氏は「現状では、学習効果や見識の広がりは、教育者に依存することが多い。ICTを使って学習者個人に最適な方法で学習を行うことで、学習効果と見識の広がりを最大化する」と説明した。
スマート教育については、自民党教育再生実行本部が提言した「国家戦略としてのICT教育」にも明記されている。具体的には、2010年代中に1人1台のタブレットPCを整備すること、全教師が児童生徒の発達段階に応じたICT活用の指導力を身につけること、ICT教育コンテンツシステムの創造といった3つの目標が掲げられている。
NRIではこうした政策が実際に行われたとして、スマート教育に関する市場は2020年までに、ハード面で少なくとも1590億円、ソフト面で少なくとも990億円規模になると予測している。
「現在の教育が直面する課題としては、地域間で教育に格差があること、教員の負荷が増加していること、テクノロジーの発展が教員の知的キャパシティを超えていること、人材要件が変化していることの4つがある。それぞれについて、ICTをどのように活用できるかを探っている」(松田氏)
教育現場へのITの適用は、今にはじまったことではない。ただ、近年では、新しい考え方に沿ってこうした課題にこたえる取り組みが進んできており注目できるという。消費サービス・ヘルスケアコンサルティング部副主任コンサルタントの佐藤太一氏は、そうした先進事例を5つのタイプに分けて具体的に紹介した。
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齋藤公二(サイトウコウジ)
インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。
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