出口を想定した実行可能な分析が大切
会社設立から10年でのべ300社超のデータ分析を支援してきたブレインパッド。約130名の社員のうち約60名が分析を担当するという"データサイエンティスト集団"とも言うべき企業だ。代表取締役社長の草野氏によると、データ分析で最も大切なことは「出口を想定した実行可能な分析」であることだ。出口を想定して、そこからどんな施策があるかを検討し、最終的にはビジネス課題の解決へとつなげていく。
「たとえ面白い分析をしてもそれによってアクションが起こらなければ話が終わってしまう。10年仕事をしてきて、大きな成果が得られたのは、顧客と一緒にゴールを検討しスタートから一緒に進めることができたブロジェクトだ。意思決定に生かしてこそデータ分析の価値が生まれる」(草野氏)
では、どのようにゴールを設定し、実行可能な分析を行っていくのか。草野氏は講演でまず、そのための考え方と組織体制を解説した。考え方としては、午前中に開催されたパネルディスカッションに登壇した大阪ガスの河本薫氏の著書やデータ分析で著名なトーマス・ダベンポート氏の著作を引用しながら、単なる分析にどとまるのではなく、スタートとしての「ビジネス課題」と、ゴールとしての「ビジネスの意思決定」を設定し、サイクルを回すことが必要だと説明した。
また、データ分析で必要になる力と、データサイエンティストに求められるスキルとは対応しているとも指摘。具体的には、データ分析には、「見つける力」「解く力」「使わせる力」の3つが必要になり、データサイエンティストには「IT」、「分析」、「ビジネス」に関する力が求められるという。組織体制としては、分析チームと分析プロジェクトを事業部門の下に置くか、横断的に設置するかなどでいくつかのパターンがあるが、「日本企業では、全体を見渡してビジネス課題に優先順位を付けられるように、事業部門ごとにプロジェクトを持ち、それを集中管理するモデルが向いているのではないか」(同氏)とした。
もっとも、人材と組織についての最大のポイントとなるのは、事業経営者側がコミットすることと、データを分析する専任人材を確保することだ。「担当者だけが熱くなっても会社は変わらない。経営トップがコミットし、プロジェクトをサポートし、分析結果を業務改善につなげることが大切。また、ビジネスを理解できるデータサイエンティストを最低1人は確保しておきたい」とアドバイスした。
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