モバイルデバイスやデータのリアルタイム活用にも対応
SAP BusinessObjectsには、多彩なレポート機能、経営者層などが情報を把握するのに便利なダッシュボード、直感的な操作で複雑な疑問にも答える高度な分析環境など、10を超えるアプリケーションが用意されている。これは、BIツールを利用する人が全社レベルに広がったために、それぞれの職種や職責に応じ、行いたいBIによるデータ活用が異なるためだ。
1つの環境だけで、すべてのニーズには答えられない。とはいえ、データ活用の環境が異なっても、参照しているデータは一元的に管理され同じものを利用することが重要だ。ツールごとに別々のデータベースを持つようでは、たとえデータソースが共通でもデータを集計する際などに誤差が発生する。さらには、データを集約、集計するタイミングが異なれば、これまたツールごとに異なるデータとなりかねない。異なるデータを参照していては、精度の高い意思決定はできない。
SAP BusinessObjectsでは、ユニバースと呼ばれる機能を利用することで、さまざまなデータソースを連結する。これは単なる技術的な統合ではなく、一般ユーザの現場の知見が分析に取り込める点で大きな意味がある。データの一元化には大規模なデータベースを別途用意することが多いが、それでも実現しにくい点がユニバースでは提供できる。SAP BusinessObjectsのユニバース機能を使うことで、仮想的に統合して分析ニーズの変化にも柔軟に対応できるようになる。
もう1つビッグデータ時代に押さえておかなければならないのが、モバイルデバイスへの対応だ。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が、幅広く普及している。ユーザーは、PCの前でだけでなくさまざまな場所、さまざまなシーンでデータ活用を行いたい。そのためには、モバイル対応は必須だ。
SAP BusinessObjects Mobileは、まさにそのニーズに応える機能だ。単に、モバイルでデータが見られるだけでなく、モバイル環境で使いやすい形で、PCと同等のデータ活用が可能になっている。他のBIツールもモバイル対応をうたっているが、モバイル用に画面を別途構築するなど手間のかかるものも多い。SAP BusinessObjectsの場合には、モバイル用に構築する作業は必要ない。1つの設定だけで、モバイルでもPCでも使い勝手の良いデータ活用環境が構築できる。PCを設置できない店舗や工場でも活用シーンが広がる。
さらに、忘れてはならないのがリアルタイムでのデータ活用だ。これを実現するプラットフォームとして、SAPではインメモリデータベースのSAP HANAを提供している。当然ながらSAP HANAとSAP BusinessObjectsは連携できる。ビッグデータのリアルタイム処理は、まだ必要ないと言うユーザーもいるだろう。しかし、たとえばPOSデータがほぼリアルタイムに手元のタブレット端末で参照できるようになると、従来のバッチ処理で用意される1日遅れの売り上げ動向データでは満足できなくなる。リアルタイムのデータが実際にあるかないかで、さまざまな意思決定の説得力は大きく違ってくるのだ。
これまでBIツールは、おもに社内で業務効率化のためなどに利用されてきた。最近は、さらに適用領域が拡大している。その1つが、情報サービスとしてデータと分析環境を販売する企業での利用だ。業種特化型サービスが多いが、分析による付加価値を顧客に提供する。その価値付加にSAP BusinessObjectsが活躍する。
この種の有償サービスはビッグデータ時代の新たな形である。企業が社内システムで活用するBIツールとは異なる意味を持つ。しかし、情報サービス産業がSAP BusinessObjectsを採用しているという事は、製品としてある一定の価値を認めているとも言えるだろう。