クラウドで自動車産業は激変か?2025年までには完全自動化運転も
IBMの年次カンファレンス「Pulse2014 The Premier Cloud Conference」が2月23日から26日まで、米ネバダ州ラスベガスで開催されている。Pulseは今回で第7回目を数え、当日の発表によると世界各国から約11000名の参加者がラスベガスのMGM Grand Hotelの会場に詰めかけている。
これまでのPulseは、システム管理用のソフトウェア製品群であるTivoliを中心とするサービスマネジメントを主題としたカンファレンスだったが、今回はクラウドを前面に押し出しているのが特徴だ。去年7月に独自のIaaS技術を持つ米クラウドベンダーSoftLayerを買収したことも大きいだろう。
初日のゼネラルセッションの会場では、ビジネス成長のための“エンジン”としてクラウドが顧客に対してどのような価値を提供していくのかについて、クラウド活用の先進企業とIBMのエグゼクティブがそれぞれ解説した。
「クラウドは自動車産業に大きな影響を与えている。600億ドルがコネクテッド・カー(ネット接続型自動車)と呼ばれるクラウドを使った技術やサービスに使われている。旧式の車は途中でアップデートすることができない。しかし、クラウド技術のおかげで現在はインターネットに接続され、どんどん進化している。車というのはもはや独立したものではない、常にクラウドにつながっている状態だ」
冒頭でこう語るのは、国際的な自動車部品メーカーContinental AG(コンチネンタル)のヴァイスプレジデント Brian Droessler氏だ。現在、Continental社はIBMと共同で、より安全な車、より乗り心地のよい車を目指して自動車開発に取り組んでいるという。
「現在、テスト車両の自動運転を行っている。コンチネンタルでは2025年までに完全に自動運転ができる自動車を投入したいと考えている。このカギになるのはクラウドだ。もしクラウドがなければ、まったく実現できないだろう」(Droessler氏)
また、Droessler氏はクラウドにより自動車業界に大きな変革が起きていることを次のように説明した。
「リリースもリアルタイムに通信でき、遅延も短縮する。クラウドと利用者の間でのやり取りや、自動車同士のコミュニケーションや通信により、より安全性の高い車を開発できる。最終的には車の運転という概念を根本的に変える。また、クラウドによって開発環境も一変する。開発者はクラウド上でアプリケーションを容易に構築が可能となり、かつ自動車に対して配信できる。自動車は今後APIの形態になっていくだろう」(同氏)
また、Droessler氏はクラウドが自動車に対してのアプリストアになるとも指摘する。こうしたクラウドがもたらす変化が、自動車の開発や運用の方法、さらには消費者の車に対する考えや行動を激変させるという。
「自動車はますますインターネットにつながりアップデートがしやすくなっていく。クラウドによってわれわれの仕事のやり方が根本的に変わってくる。自動車の新時代、より効率がよい安全性の高い車を目指していく」(同氏)