SAS Institute Japanは3月5日、2014年ビジネス戦略発表会を開催。2014年は、顧客分析製品「Customer Intelligence」の推進、Visualization製品「Visual Analytics」の推進、Hadoopの統合と活用、データ品質を中心としたData Managementの4つを柱として、ビッグデータとアナリティクス市場を牽引していくとした。
顧客分析・マーケティング統合管理製品が好調

SAS Institute Japan 代表取締役社長 兼 北アジア地域副社長 吉田仁志氏は、昨年の実績について、「顧客分析製品が好調だったほか、戦略製品として一昨年に投入したVisual Analyticsもアナリティクスに付加価値を求める新規顧客に多く採用された。日本を含めた北アジア地域はグローバルでトップセールスだった」と総括。グローバルでも、売上高は前年比5.2%増の30.2億ドルと過去最高を記録しており、創業来38年連続での増収増益だという。
国内の実績については4つのトピックスに分けて具体的に説明した。1つめは、ビッグデータ・アナリティクスの導入が促進されたこと。大手小売がDWHで行っていた分析を「SAS Grid Computing」に移行しデータ分析を行ったケースや、大手通信キャリアがHadoopを使った分析を行ったケースが目立ったという。
2つめは、顧客分析・マーケティング統合管理製品が好調だったこと。たとえば、化粧品のファンケルが、従来型の分析のアプローチから、顧客セントリックな分析を行うためのSASの顧客分析製品を採用するなど、多くの事例があったという。
3つめは、メガバンク、証券など金融機関での採用が進んだこと。メガバンクでは、金融機関向けのリスク管理やマーケティング活用などのソリューション「Banking Analytical Architecture」の採用が進んだ。また、証券では、NISA(少額投資非課税制度)を背景に新たな顧客取り込みのために顧客分析製品の採用が進んだ。金融ビジネスは、前年から2倍に伸びたという。
4つめは、アナリティクスがビジネスに価値をもたらす手段としての認識が広まったこと。具体的には、Visual Analyticsが新規の顧客に、新規の分野で採用されるケースが増えたという。
続いて、2014年の戦略立案の背景として、SASの事業領域やビッグデータやアナリティクス市場の動向について説明した。
まず、SASの事業領域は、ソリューション別に見ると大きく3つに分けられる。1つめは分析の基盤となる「Analytical Platform」で、売上の50~60%を占める。2つめが顧客分析の「Customer Intelligence」で、3つめが金融機関を主なターゲットにしたリスク分析と不正検知「Risk Intelligence and Fraud」となる。不正検知のFaudソリューションは最も伸びている新規分野だという。
このほか、アナリストなどから評価の高いSASの差別化領域として、サービスオペレーションアナリティクスの分野があるとした。これは、単なる分析ではなく、それを業務ニーズに合わせた商品のかたちで展開するもので、こうした業務アプリケーション向けソリューションを提供しているのはSASだけだという。
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齋藤公二(サイトウコウジ)
インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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