前回、変動損益計算書がビジネスモデルキャンバスと関係性が高いことを説明しました。このことは、ビジネスモデルを考える上で、変動損益計算書をシッカリ理解しておく必要があること意味しています。新規事業計画(ビジネスモデル)を、変動損益計算書の形式でまとめることを「利益計画(損益計画)」といいます。今回は、この利益計画をどのように行うのかについて、ご紹介します。利益計画の正しい手順はどのようなものか、よく陥ってしまう間違いについても考えてみましょう。
まずは、利益計画に役立つ関係式を理解しよう
第6回の記事で取り上げたセルフ式うどんチェーン店の1店舗の月間利益計画を復習してみましょう。月間利益計画データは次の通りです。
- 客単価は450円を見込む
-
客単価(1食)あたりの見積原価
・変動費:原材料費120円、消耗品費15円 水道光熱費35円 -
固定費:その他のデータ
・人件費250万円/月 店舗設備費等180万円/月
・可能な製造・販売量は17,000食/月 - 月間の目標営業利益 18万円
営業利益18万円を得るために必要な売上高を計算してみましょう。
・客単価(1食)あたり変動費は、170円(=原材料費120円+消耗品費15円+水道光熱費35円)です。
・客単価450円-変動費170円で、客単価あたりの限界利益280円が計算できます。
・限界利益率は、62.2%(≒280円÷450円)です。
・月間固定費は、430万円(=人件費250万円+店舗設備費等180万円)です。
営業利益18万円を得るには、月間固定費430万円と営業利益18万円の合計である448万円の限界利益を生みだす必要があります。
つまり、
・16,000食(=448万円÷280円)を販売すればいいわけです。
そして、営業利益18万円を稼ぐために必要な売上高は、720万円(=16,000食×客単価450円)です。
目標営業利益18万円を得るために必要な売上高は、
・限界利益448万円=固定費予算430万円+目標利益18万円
となる売上高を求めればいいのです。
したがって、
・必要売上高×限界利益率62.2(%)=固定費予算430万円+目標利益18万円
となります。ここから必要売上高を求める関係式が求められます(図1)。

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千賀 秀信(センガ ヒデノブ)
公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。日本能率協...
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