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オープンクラウド最前線

ユーザー、 クラウドサービス/SI事業者、開発者、「オープンクラウド」それぞれのメリットとは?

■後編


 前編では、OpenStack、CloudStack、Cloud Foundryなどに代表されるオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアなどを採用した「オープンクラウド」のビジネス動向やオープンクラウド・エコシステムの最新動向を整理した。後半は、オープンクラウドのアーキテクチャーやユーザーのメリットに焦点をあてて整理する。

オープンクラウド実現のための5つの要素

 オープンクラウド実現にはオープンなAPIの実装をはじめ、以下の5つの要素が必要と考える。

  1. オープンなAPIの実装
  2. オープンソースベースのクラウド基盤やプラットフォーム環境が開発コミュニティにより共同で開発
  3. オープンソースプロジェクトの豊富な運用経験を持つ組織や団体、人材による支援
  4. ユーザー自身が、アプリケーションなどを複数のオープンなクラウド環境で利用
  5. 複数の事業者がサービスをアドオンできるオープンで全体の最適化が図られるアーキテクチャーと運用環境

 オープンクラウドの関連技術は、世界中の開発者が参加する開発コミュニティであるオープンソースの開発プロジェクトでノウハウを共有し、多くの開発者の貢献により、早い開発スピードでのバージョンアップが進んでいる。

 不具合が発生した場合や機能拡張においても、開発コミュニティや、周辺機能を開発するサードパーティーにより、 対応が急速に進み、品質やインターフェースなどの使い勝手が短期間で改善される場合が多い。

 さらに、システムの構築から運用保守まで、事業者やユーザー企業のオープンソースの活用を支援するソリューションやサポートサービスも充実してきており、機能や品質、使い勝手、サポートの面においても商用ソフトと垣根はなくなりつつある。

 企業や団体による支援も大きい。たとえば、OpenStackはRackspace、CloudStackはCitrix、Cloud FoundryはPivotal、OpenShiftはRed Hatといったように、それぞれ大手事業者がそのプロジェクトを強力に支援している。また、OpenStack FoundationやOpen Networking Foundation(ONF)、Cloud Foundry Foundationといったように、中立性の高い非営利団体を設立し、ガバナンスを働かせるとともに、技術や財務などの支援を行うことで商用化を推進する動きもある。

次のページ
ユーザー、 クラウドサービス/SI事業者、開発者のメリット

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この記事の著者

林 雅之(ハヤシ マサユキ)

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュケーションズ株式会社勤務)1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営を担当。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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