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ビッグデータをどう使う? 未経験者から専門家まで、スキルに応じたデータ分析事例

経験を積みステップアップ~Webアクセスと受注データを相関分析する

ビッグデータの活用方法
 

 2つめの「社内経験者レベル」の事例としては、数百人規模の法人営業を抱えるB2B企業を紹介した。この企業では、若年層の営業育成に課題を抱えており、OJT頼りの育成方法にも限界を感じていた。法人営業のほか、マーケティング部門も人材不足に悩まされており、獲得したマーケティング活動によるリードの案件化率も低いことが課題だったという。  

 そこで、案件化・受注確度の高いマーケティングリードに営業力を集中することで効率化を実現しようとした。受注につながりやすいかどうかを優先順位づけするために分析基盤としてR言語やクラウド型解析基盤を複数導入。分析スキルとしては、比較的単純なデータを扱うものの、アナリティクスの最低限の知識と経験は必要となった。

 「商談化する確率の高い顧客を予見するリードスコアリングの手法を採用した。リードスコアリングは、B2Cで一般化しつつあり、それをB2Bに応用することで営業効率化へ近づけることができた」(同氏)

 具体的には、マーケティングプロセスにおける、顧客や企業のデモグラフィクデータ、テレマーケティング実績、Web行動データなどと、セールスプロセスにおける受注実績データとを相関分析し、それらを使って、トップセールスマンがどのように受注にいたっているかを導き出した。その「トップセールスマンの経験と勘の確立曲線」に沿って、もっとも効率のよいターゲットに対して重点的に提案する活動につなげたという。

  3つめの「専門家レベル」の事例としては、数万人規模のスポーツイベントの来場者予測を行ったケースを紹介した。この企業では、年数十回の主催イベントを開催しており、来場者数の目標値を達成するために、多くの販促施策を実施している。しかし、過去の経験則に依存した予測をしていたため、来場者が少ない場合などに早め早めでテコ入れ策を行うことが十分にできていなかったという課題があった。そこで、事前の予測から早めの対策や、人員配置や飲食、グッズ数の最適化を戦略的に実施しようとした。また、来場者数の変動要因を見つけ、それをプロモーション計画に活用しようとした。そのために、既存のデータ基盤から、購買データ、会員データ、行動データなどのデータを収集・分析するトータルCRMシステムの構築に取り組んだ。高度な分析スキルが必要になるため、日立ソリューションズのデータサイエンティストが分析を実施したという。

 「予測モデルを構築し、12.9%の誤差で来場者数を予測できた。これはいつファンが会場に観戦に来るかという非常に分析しにくい分野としては、十分に高精度な来場者予測と言える。これによりいくつもの対策を事前に実施できるようになった。また、施策の効果を定量的に測定する方法をデータサイエンティストが定義し、施策の改善を支援した。こうしたことにより、事前予測から対策実施、効果測定という一連の分析をサイクル化し、精度を向上させることができた」(同氏)

 改善の例としては、チケット購入ポイントの2倍キャンペーンの効果検証がある。まず、会員向けに先行販売期間のさらに前の限定期間に購入した場合のみポイント2倍を付与するキャンペーンを行った。だが、結果として、 総販売数は変わらず、これまで先行販売期間に購入していた顧客層が、さらにその前の先行キャンペーン期間での購入に移行しただけだった。そこで、この事実から次のステップでは、総販売数の増加に向けた施策を打つ予定だ。その他の分析・施策の成功例として、会員データの分析結果から得られた知見に沿って「会員セグメントごとのメルマガ施策」を打ち、効果を上げた。「ノウハウが蓄積したことで、ブラッシュアップされ、施策の精度がさらに向上した」(同氏)という。

 

 武田氏は最後に、人の入力するデータのように余計な要素の無い信用できるデータこそが分析する価値があるデータであり、それがマシンデータと改めて強調している。それらが技術の進歩などにより低コストで収集できる仕組みが出来たことでビッグデータを活用できる環境が整ったという。

 残った課題は、データ分析を実施するデータサイエンティストの育成の問題だ。社内で育成する場合は、スキルにあったレベルの目標を設定により結果をきちんと明確にしていくことが重要で、それらを積み重ねることができる仕組みを小さいサイクルで継続していくことが重要だという。そして、それなりのコストをかけても、すぐに大きな効果が欲しいというお客様には、業種ごとに特化した体制でデータ活用支援環境が日立ソリューションズにはあり、自社の豊富な実績やノウハウで新たな価値の創造を実現するという言葉で講演を締めくくった。

ビッグデータ利活用基盤ソリューション Splunk

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この記事の著者

齋藤公二(サイトウコウジ)

インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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