
ビッグデータ活用が当たり前になり、IT業界で何度目かの注目を集めているのがBI(Business Intelligence)だ。中でも注目のプレイヤーの1つがTableau Softwareだろう。先週はそのTableau SoftwareのCFOと製品担当のシニア・ディレクターが来日、Tableauのどのような点がいま評価されているのか話を訊いた。
クエリーとレンダリングを1つに

「創業以来、顧客がどのようにデータを見て理解しているのかを考え製品を提供しています。それが我々の使命です」―こう語るのは、Tableau Softwareのプロダクト・マネジメント部門のシニア・ディレクター フランソワ・アジェンセント氏だ。Tableauの特長はデータのビジュアライゼーション、つまりは可視化だ。Tableau Softwareは、スタンフォード大学のアカデミックなプロジェクトが起源。コンピュータ・グラフィックスの技術を用い、データをどのように見て作業すればいいのか、データを可視化することで人々の理解や作業をどうサポートできるかを研究していた。
たとえば、13年前、パラレルコンピュータの動作状況を把握するための可視化を行った。できあがったビジュアル表現で、複数のコンピュータがどう稼働しているかが把握しやすくなった。しかし、さらに別の見方もしたいという要求が出てくる。そうなると、新たな要求に応えるようなビジュアル表現を2、3週間の時間を費やし再び構築することになる。それを見てさらに要望が出れば、またその作業を繰り返すことに。これでは、たとえビジュアルによって理解しやすくなっても、それをもとにタイムリーに意思決定をすることは難しい。
Tableau Softwareはこういった課題を解決するために2003年に創業された。
「可視化の力、それを与えることで意味のあるインサイトを人々が得られるようにする。そのためにTableauは生まれました。分析プロセスを経て新しいインサイトを素早く得る。これを実現するには、クエリーとビジュアライゼーションを一緒にする必要がありました」(アジェンセント氏)
また、たんに一緒にするだけでなくシームレスに一体化する、そのためにVizQL(Visual Query Language)というクエリーとレンダリングを1つにしたデータベースの可視化言語を開発した。これはスタンフォード大学開発し、それを利用することがTableau Softwareにライセンスされている。
既存のBIツールとTableauはどこが違うのか
Tableauが創業した2003年当時ならば、BIのツールにも可視化に力を入れた製品はあったはず。それらとTableauはどこが違うのだろうか。
「他のツールと比較し、Tableauはシンプルでした。エンドユーザーが活用することができ、質問に対する答えを容易に見いだせる。それが、IT部門の助けなしにできました。また、VizQLがありとあらゆるデータソースに対して使えるものだったことも他との大きな違いでした。さまざまなデータソースに対し、クエリーの操作ができる。なぜなら、顧客のデータは、データベースだけでなくありとあらゆるところにあるからです」(アジェンセント氏)
Tableau SoftwareのCFOであるトム・ウォーカー氏はTableauの登場時の評価は、iPhoneが市場で評価されたのに似ていると言う。
「AppleはiPhoneを完全な形で楽しく使えるものとして市場に提供しました。これは、ユーザーが使いたいと思うものだったのです。そのiPhoneにより、携帯電話の世界が変わりました。iPhoneが登場した当時も、他にはスマートフォンはあり、それなりの能力を持つものでした。Tableauは、このiPhoneのようなことを、データの世界で実現しようとしています」(ウォーカー氏)
もう1つ異なるところは、他のBIツールが既存の基盤の上にビジュアライゼーション機能なりを追加して提供している点だとアジェンセントは言う。これは仕組みを複雑にしてしまい、さらに既存の基盤もそれなりに規模のあるものが必要であればコストも大きくなってしまう。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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