在庫という代物の仕組み
まず、次の図を見てみてください。
これが在庫という代物の基本的仕組みです。
商品、または製品が入荷してきて、一時的に在庫されます。そして、市場の注文に応じて在庫が出庫されていき、販売につながっていくという基本的仕組みです。
この3つをしっかりとコントロールすれば、在庫はしっかりと管理できるとも言えるでしょう。
これは、穴の空いたバケツに水を入れているような感じでしょうか。穴は大きくなったり、小さくなったりします。また、水が出る蛇口の方もたくさん出たり、少ししか出なかったり、場合によっては止まったりします。そして、バケツにたまっている水が在庫ということになります。
穴が大きければ、水は蛇口から出る以上に漏れていってしまうので、在庫は減っていき、場合によっては空になります。逆に穴が小さければ、どんどん水は溜まっていき、あふれる(在庫の持ちすぎ)ことになります。この場合は、蛇口を絞って止めるしかありません。
原則は、”入と出”のスピードを同期させること
さあ、在庫という代物の基本的な仕組みの復習はここまでにしましょう。さきほどの、バケツのことを考えた時、バケツに入っている水を一定の量に保つにはどうしたら良いでしょうか。
- 穴をふさぎ、蛇口の水も止める
- 蛇口から出る水と同じ量だけ、水が出るように穴をコントロールする
- 逆に、穴から出る水の量だけ蛇口をコントロールする
の3つの方法があるでしょう。
では、現実にはどうでしょうか。1は可能でしょうか。売るのを止め、買うのも止めるということを言っていますから、ビジネスになりません。溜まった水は溜まると腐るものです。在庫も同じです。「陳腐化」が待っています。ということで、1はあり得ません。
では、2はどうでしょうか。穴をコントロールすることはできるでしょうか。ビジネスでいうと、売れ行きをコントロールするということになります。需要を抑えることはできるかもしれません。出荷しなければいいわけです。しかし、それはビジネスとして「売上を上げない」ことにつながります。
逆に、たくさん売ることはある程度コントロールできるかもしれませんが、常識的に考えたら、難しいでしょう。簡単なら、どんな商品でも飛ぶように売れるようにできる訳ですから。
一方で、蛇口の水量は一定ですから、買い続けることになります。これはおかしな話です。となると、2も考えにくいということになります。
結果、3が原則になるでしょう。出て行く分だけ、蛇口から水を入れる。売れるスピードにあわせて、買うということです。製造業なら、売れるスピードにあわせて作るということになります。これなら、バケツの水は多少の変化はあるものの、大きく水量は変わらないでしょう。