バズワードとして「IoT」は最適な言葉
「Internet of Things(モノのインターネット)」、「Internet of Everything((ヒト・モノ)すべてのインターネット)」・・・そんな言葉が世の中で飛び交い始めた。単純にモノ(デバイス)のネットワーク化という意味での動きは今に始まったことではない。M2M (Machine to Machine) という言葉でずいぶん前から多くの製品メーカーが取り組んできたものだ。
では、IoTは単にM2Mの焼き直しとしてのバズワードに過ぎないのだろうか。たしかにバズワード好きの日本人が飛びつきそうな言葉である。だが、過去の例を見れば、日本でバズワード化してしまった海外発の言葉の多くに、実は本質的に何かを革新するパラダイムシフトが隠れていたことを思い出す。
たとえば、クラウドコンピューティングなどがいい例である。NIST(米国標準技術研究所)は早い段階からクラウドコンピューティングのコンセプトを定義していたのだが、残念ながら国内でクラウドを標榜する事業者の多くが、当初は、この定義にはほど遠い、従来型を焼き直したようなサービスを提供していた。また、そのせいもあって利用者側もクラウドの本質を理解できないでいた。残念ながらこの状況はいまだに少し尾を引いている。
話をIoTに戻そう。M2Mという堅い言葉よりも語感はいいし、インターネットを知らない人はほとんどいない。しかも、それが、あらゆる「モノ」と繋がるというのは、なかなか夢が広がるから万人受けする。まさにバズワードとしては最適な言葉だ。しかし、ここにもいくつかの本質的な考え方が潜んでいる。まずは、それを紐といてみようと思う。