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東急ハンズ長谷川流 IT戦略思考法

店舗との確執を乗り越え、オムニチャネル化を目指す--東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第5回) 

 IT基盤をすべて入れ替え、その中で自社開発体制を整えることに成功した「東急ハンズ」の情報システム部門。IT基盤の刷新の目処がついたところでとりかかったのが、EC部門との統合やマーケティングの施策だった。請負型だった情報システム部門が自ら戦略的に考え、手を動かし、組織を支えるようになっていったのか。キーマンである長谷川秀樹氏へのインタビューを紹介する。第5回は、情報システム部門とEコマース部門の統合についてうかがった。(前回の記事はこちら)

システムに近い業務を、情報システム部門と統合する

――IT基盤刷新を完了し、責任と執行力を持った情報システム部門は、さらにマーケティング施策やEコマースへと活躍の幅を広げてきました。そのきっかけとなったのは、どのようなことだったのでしょうか。

株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 ハンズラボ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹氏

▲長谷川 秀樹氏 
株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

 IT基盤刷新のプロジェクトを通じて、情報システム部門は単機能ではなくて、多機能型組織にすべきだと確信を得たことが大きいですね。情報システム部門は「他から依頼された情報システムを注文どおり作るのが仕事」と思わされていますが、それではあまり面白くない。「システムはあくまでツール」なんていわれつつ、作ったらオシマイ、後は知らない、なんてことがまかり通っている。船に乗ったことがない人が船を作るようなもので、まともなシステムが作れるわけがないんですよ。  

 どんな場面で必要なのか、なぜ必要なのか。そうした情報システムを作る以外の部分を考えることで理解が深まり、真に価値があるシステムができるのではないかと思うんです。仕事としてもやりがいを感じ、それがいいアウトプットにつながることは容易に想像できますよね。もちろん、あまりかけ離れたところではなくて、Eコマースや顧客管理のようなITシステムと密接に関係する部分なら、ごく自然に考えられるでしょう。  

 組織の規模から見て、Eコマース部分を統合したことがマイルストーンのようになってますが、実は2010年に商品物流企画部の商品マスタ管理課を、そして2012年に営業企画部門のハンズクラブカード事務局をそれぞれ統合しています。商品データや顧客データの取り扱いという、システムと近い関係にある業務を少しずつ統合していく延長線上にEコマースがあったというわけです。

――長谷川さん自身は2009年からEコマース部門の責任者として関わっていますね。  

 そうですね。経営サイドにも「EC=システム」という理解はありましたから、情報システム部門の責任者だった私に声がかかるのも自然なことでした。2009年だったのですが、情報システム部門はMD基盤導入がほぼ完了し、一方でEC事業は数億規模の売上がたったものの、損益分岐点を越えられず赤字から脱出できずにいました。世の中ではEコマースがぐんぐん成長しているのに、東急ハンズのEコマースは売上の割にコストばかりが嵩んでいる。そこで、もう一度仕切りなおして参入しようという気運が高まっていたのです。  

 ただし、全社一丸となってポジティブに応援していたわけではありません。赤字続き、そして全体の売上のわずか1%に過ぎませんでしたが、店舗の客が食われるという危機感があって、店舗の売上責任をもつ本部部長や店長からは反対意見が相次いでいました。社内の風当たりが厳しい中で、Eコマースを担当する通販事業部の兼務を引き受けることになったわけです。そして間もなく情報システム部門とECショップを統合し「ITコマース部門」として改革にあたることになりました。

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赤字ECショップを2年で黒字転換させた4つの施策

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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