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IBMとAppleの協業成果はいかに?―IBMが日本展開を開始


 クラウドファースト、モバイルファーストという言葉がだいぶ定着してきた。何か新たなシステムを始めるなら、そのプラットフォームにはまずはクラウドを検討する。そしてそのシステムの利用シーンで使われる端末は、PCではなくてモバイル端末が大前提、市場よってはモバイルが中心でPCは一部であるというくらいの勢いもあるほどだ。そんな中、昨年発表されたIBMとAppleの提携ニュースは業界を驚かせた。予想していなかったエンタープライズとコンシューマの融合。インテルベースのPCやサーバーを捨てたIBMには、こんな選択もあったのかと思わされた。とはいえ協業を発表はしたものの、昨年中は具体的な成果はなかなか見えてこなかった。一部、iPadなどのiOS端末を活用した、インテグレーション事例などもIBMからは紹介されてはいたが、両社が手を組んだからこその成果はまだ見えにくかった。

よりシンプルに、より美しくアプリケーションを提供する

 市場の期待先行に対し、満を持して登場したのが昨年末に発表された「IBM MobileFirst for iOS」だ。運輸、旅行業や銀行、金融業向けなどにiPhoneおよびiPad専用に構築されたアプリケーション群の提供をIBMが開始したのだ。2015年3月にはさらにこれを拡張し銀行、小売業、保険、金融サービス、通信、エネルギーと公益事業、公共機関、航空業の各企業が、すぐに利用できるモバイル向けアプリケーションの提供を開始した。2015年4月にはこのうちの7つのアプリケーションが日本語化され、国内でも本格的な展開が始まった。

 「Appleとの提携は独特のものです。両社の持っている業界唯一のモバイルの機能性を、企業向けに提供するものです。Appleの美しいユーザー体験が、企業向けのアプリケーションに加わることになります」

 こう語るのは、日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部長 キャメロン・アート氏だ。

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部長 キャメロン・アート氏
日本IBM 取締役専務執行役員
グローバル・ビジネス・サービス事業本部長
キャメロン・アート氏

 IBM MobileFirst for iOSで提供するアプリケーションは、それぞれの業界が持っている特有の課題を解決するために作られている。

 「美しくシンプル。こういうアプリケーションを提供できることで、本当に心が躍ります。人間の想像力を活かしてビッグデータ、アナリティクスの力を従業員の手元に届けることができます。このように想像力をかきたてるような仕事は、それほど出会えるものではありません」(アート氏)

 Appleとは時間をかけて協業を進めているという。たんにアプリケーションをモバイル対応するだけでなく、よりシンプルにすることを考え抜いた結果を提供しており、そのためにはアナリティクスや業界における深い知見が必要だとも言う。モバイルで使いやすいと言うことは、たんにモバイルの画面をきれいに作ることではない。アプリケーションの機能や動きそのものを、モバイルでの利用に特化、最適化した形でデザインすることなのだ。

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モバイルアプリケーションを提供するのはソフトウェアではなくコンサルティング・サービス部隊

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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