拡大するクラウドストレージの業務利用、IT管理者の課題とは
クラウドストレージにデータを保存することが日常的に普及してきている。コンシューマ向けサービスでもパソコンやスマートフォンなど、どのデバイスからでも手軽にアクセスできて多機能なものが多い。そして大抵は無料だ。USBメモリやSDカードのように購入する必要がなく、紛失のおそれもないのだから魅力的である。
しかし個人利用に限るならさておき、業務利用ではどうか。外回りの多い営業が利便性を追求するあまり、企業情報や顧客情報を個人向けクラウドストレージに預けていいものだろうか。IT管理者としては頭が痛い問題だ。
クラウドストレージを使用する上でセキュリティの課題となるのは何か。ウィンマジック グローバルセールス・エンジニアリング担当 バイス・プレジデント ロス・アンダーソン氏は「企業が最も懸念しているのはクラウドに預けたデータが漏えいすることです。しかし現実にはIT管理者はユーザがクラウドストレージにどのようなデータを保存しているかまではコントロールしきれていません」と指摘する。
IT管理者はユーザのクラウドストレージの利用を懸念しつつも手の施しようがなく、黙認するか、仮の対策でなんとかしのごうとしているのが実情だ。例えばクラウドストレージの利用ポリシーを策定したり、ファイアウォールで制限するなど……これでは不十分であり、いつ情報漏えいが起きてもおかしくはない。危険な状態だ。
情報漏えいのリスクを回避する唯一の対策は、“全てのデータを暗号化すること”
一方でユーザは利便性を失いたくない。ユーザはリスクを正しく認識していないと独断で個人アカウントを開設してしまったり、ユーザ同士でアカウントやパスワードを共有するなど、好ましくない回避策を見つけてしまう。多くの場合は悪意はなく、知識不足が不適切な運用を招いてしまう。
ユーザの利便性を損なうことなく、漏えいで生じるリスクを防ぐにはどうすればいいのか。アンダーソン氏は「リスクを回避する唯一の対策が暗号化です。それも全てのデータを暗号化すること」と断言する。
データが暗号化されていたら、万が一漏えいしてもデータは利用できない。情報漏えいのリスクを防止するには、なによりもまずデータを暗号化して保護することが重要だ。問題は技術的にどう実現するかだ。