ベンダー色に染め上げるのではなく、これから顧客が望むのは多様性クラウドだ
また、昨年の同時期にはセールスフォース・ドットコムはOracleとの提携も発表している。こちらは両社の製品連携と言うよりは、Oracleのインフラ製品をセールスフォース・ドットコムが今後積極的に利用しますよといったものが主流。もともと同社のサービスではOracle製品をかなり使っていたこともあり、その発展とも言えるこの提携話にはそれほど驚くこともなかった。さらにCEOのマーク・ベニオフ氏とOracleのCTO ラリー・エリソン氏は、表面的にどんなに敵対しているような発言をしていても、師弟関係というか人間的な結びつきはかなり強力だ。なので、この発表を目にした際には将来的なOracleとセールスフォース・ドットコムの融合、なんてシナリオもまんざら絵空事ではないのではと思わされた。
ところがそれから1年以上の時間が経過し、パートナーとして連携を強化して見せたのはマイクロソフトのほうだった。
「前の日よりも個人として、会社として常に良くなる。それがマイクロソフトです」(ナデラ氏)
マイクロソフトの前日よりもさらに良くなる動きの中に、このセールスフォース・ドットコムとの協業も入っていたのだろう。またナデラ氏は「多様性というものをマイクロソフトは体現しています。すべてに多様性を入れていきます。人間と組織のところに多様性と入れ込んで、それぞれを結ぶようにします。こんなことをやっているのはマイクロソフトだけだと思っています」とも言う。ここで強調した多様性の1つが、セールスフォース・ドットコムのサービスだったわけだ。