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“考える人”に負荷を与えないデータ分析プラットフォームの解: 「Power Systems」+「InfoSphere BigInsights」

 村上氏は、データ分析の業務では“考える人”が重要だと言う。考える人に負荷をかけず、柔軟で拡張性のあるデータ分析環境を実現する。これらの条件を満たし、柔軟で十分なデータ分析性能を発揮できるプラットフォームとして選ばれたのが、IBMの「Power Systems」とHadoopソリューションの「InfoSphere BigInsights」の組み合わせだった。

 「各種プラットフォームを比較、検討した結果、IBMのPower Systemsを基盤インフラとして採用しました。Power Systemsは、大容量データを高速処理できる性能を持っており、一般的なIAサーバーよりも少ない台数でもさらなる性能が得られると判断しました。また、マシン台数が少なければ、管理は確実に楽になりますし、今後はインメモリで高速にデータ処理をするSparkも出てくるので、Power SystemsのようにCPUパワーが大きいほうがいいとの期待もあります」(村上氏)。

 Hadoopと言えばIAサーバーを並べて構成するイメージがある。これは一見拡張性も高く安価に構築できそうに思えるが、台数が増えれば複雑化して運用管理の手間も大きくなる。トラブルが発生した際の問題の切り分けもかなり面倒だ。

 村上氏は、もう1つの採用ポイントとしてBigInsightsのSQLインターフェイス「BigSQL」の存在もあったと言う。BigSQLを使うことで、使い慣れたSQLでHadoopに高速にアクセスできる。これはかなり魅力的だったそうだ。結果的にSPSSとPureData System for Analyticsの環境から、BigInsightsに透過的なアクセスが可能となっている。

聞き手:DB Onlineチーフキュレーター 谷川耕一

聞き手:DB Onlineチーフキュレーター 谷川耕一

 「分析者からはこれまで通りSPSSとしてしか見えていません。裏で何が動いているかを気にしなくていいのです」(村上氏)。

 またDNPは、ストレージ製品のIBM Storwize V7000、V3700も合わせて導入している。ストレージ仮想化の技術を活用して高い拡張性と柔軟性を確保し、将来的なデータ増加にも柔軟に対処できる環境を手に入れた。ストレージも含めてトータルでIBM製品に統一したことで、ハードウェアとソフトウェアの親和性を含むトータルの価値が得られる上、管理性向上のメリットは大きいと村上氏は強調する。こういった管理性の向上も、考える人に負荷をかけずに安定したデータ分析基盤を提供することにつながる。

 今回のデータ分析基盤について島崎氏は「社内に閉じた環境ではなく、将来的には得意先にBIツールを使って“見える化”するビジネスも考えています。柔軟性、安定性、高速性すべてを兼ね揃えたデータ分析基盤があれば、さまざまな使い方が展開できると期待しています」と語る。

 最後に、今後IBMに期待することを伺ってみた。
 「IBMの次世代ITに対するビジョンは他社に先行している感があり、そのビジョンを確実に製品・ソリューションに反映しているIBMの姿勢を評価していますし、『未来のあたりまえ』をつくっていくDNPの取り組みとも、同じ方向性を持っていると感じています。ぜひビジネスのパートナーとして、今後もお付き合いをしていければ」(村上氏)。
 「データを活用し、さらに新しい価値を提供していきたい。そのために、他がやっていないようなことにもどんどんチャレンジしたい。IBMは世界で活躍している企業なので、協力して世界初の取り組みを一緒にできれば」(島崎氏)。

 製品提供だけでなく、ビジネスを一緒に進めるパートナーとしての存在もIBMには求められている。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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