
少し前までチャットアプリはプライベートの交流のためのものと思われていたが、今ではビジネスの連絡手段としても普及してきている。同僚には要件を手短に伝えるほうが生産性や効率面で重要だからだ。しかしビジネスで使うとなると情報の取り扱いには気をつけなくてはならない。万が一、情報漏えいにつながれば致命的なことになる。言い換えれば、セキュリティや安全性が十分考慮されていれば、チャットアプリはビジネスでも使えて社内の情報共有を活性化できる。
ビジネスでもチャットアプリが普及しているワケ
「お疲れさまです」、「○○部の××です」、「どうぞよろしくお願いいたします」など、メールでは要件の前後に挟まなくてはならない文言が多い。同報メールで飛び交う「了解しました」だけの返信も悩ましい。返信がないと発信者は「ちゃんと読んでくれたかな」と不安になる一方、受信者がそれぞれ返信すると重要なメールが埋もれてしまいかねない。
「定例会議は○○会議室に変わりました」「いま電話してもいいですか?」など、やや緊急性を伴うような連絡事項にはチャットアプリが向いている。近年LINEの影響でチャット形式のコミュニケーションが日常的になり、こうしたコミュニケーションがビジネスにおいても増えてきた。かしこまった連絡はメールがふさわしいものの、身内などの連絡ならチャットで手短かつ手軽に伝えられるほうがいい。
また、こうしたチャットアプリの普及は、“働き方”が多様化している背景も後押しとなっている。在宅勤務や出先ではスマートフォンやタブレットを用いている可能性が高く、社内のようにパソコンを使用しているとは限らない。そうなると相手に即座に伝えられて、手軽に入力できたほうが効率がよい。また、職場で近くにいる同僚に声をかける感覚でコミュニケーションがとれると在宅勤務もしやすくなるだろう。そうした要件にチャットアプリは見事にマッチしている。
ビジネス利用における注意点、「シャドーIT」に潜むリスクとは?
しかし問題は安全性だ。実際、仕事のやりとりにLINEやFacebookメッセンジャーなどチャットアプリを用いている現場は多いだろう。これもいわゆる「シャドーIT」のひとつ。企業のシステム部門が関与しないところでビジネスの情報が飛び交っていることになる。
LINEほか普及しているチャットアプリでも当然のようにセキュリティは考慮されているとはいえ、一般向けチャットサービスをビジネスで利用するには様々な懸念がある。例えば誤送信、盗難や紛失。送信相手を間違えて不適切な内容を送信してしまえば情報漏えいにつながりかねず、端末だけではなくアカウントの管理にも事故は起こりうる。
では、ビジネスでチャットアプリを用いる場合に注意すべき点は何か。セキュリティ面では何よりも第三者から盗み見られないことが挙げられるだろう。万が一のことを想定して自社の管理下にあることが重要である。もちろん、従業員の使い勝手や生産性向上への考慮も欠かせないポイントだ。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
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