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「5年前には皆にクレイジーと言われた」―デロイトスペイン、アルフォンソ・ムール氏に訊くCICの歩み

日本チームとのコラボレーションについて

―日本チームがCICを作るにあたって、とても頻繁にスペインに訪れていましたね。ほかにいろいろな国がある中でスペインだったというのが興味深いところでした。そのあたりの情報交換、日本との交流はいかがでしたか。

ムール「彼らのやり方はすごくクレバーでした。まず、カナダ、北米、イギリス、フランス、スペインなど、デロイトのCICがあるすべての国を訪れた。その上で、もっとも進んでいるのはスペインであると判断してくれました。スペインは5年前に、デロイトとして初めてこのビジネスを始めた場所なのです」

―フロンティアだったわけですね。

ムール「5年前、私がこのビジネスをやろうといった時、みんなが私のことをクレイジーだと言ったんですよ(笑)。デロイトにとってお金儲けになる話などではないとだれもが考えていたんですね」

―クレイジーと言われても続けたんですか?

ムール「しかたがないので、まずひとりでスペインの仲間たちとはじめました。3年後、ビジネスになるようになり、今では各国のデロイトのメンバーが『どうやったんだ?』と意見を仰ぎにくるようになりました(笑)」

―いい話になってよかったです(笑)。

ムール「私がクレイジーだったわけじゃなくて、ただたんにクライアントの声に耳を傾けていただけだったんです。当時、クライアントが何を求めていたか、ピンポイントではなくて統括的にセキュリティを助けてくれるところを求めていた。戦略を立てて、デザインして、導入して運用する……というところまでも全部見てくれるところを探していた。だからそれをはじめたというわけです。日本のメンバーは、このやり方を知りたいと言ってやってきたんですね。だから、まずコラボレーションとしては、どういう風に立ち上げたか、マネジメントの仕方、クライアントにどう話したらいいか、こちら側のリクルートの仕方、サービスの提供の仕方を一緒に勉強していきました。次のコラボレーションとしては、市場の求めているものに対してどうやって対応していくかということ。クライアントからリクエストを受けたところで、どう対応していくかということを学びました。今後日本にCICができたときには、日本独自のクライアントがいるわけだし、日本政府からの仕事も来るかもしれない、日本ならではのクライアントに対応するための準備を一緒にしましたね」

―ローカライズの部分ですね。

ムール「彼らは日本という国に合わせてサービスを作り上げていく方法、デザインも理解し、どうやってこのビジネスをサービスとして売っていくかといったことも一緒に検討しました。日本チームとのコラボはすごく楽しかったですよ」

―今回、各国との連携を見て、ゆるやかにつながりつつ独立を保っているデロイトのスタイルがとても面白いと思いました。これからも日本との関係は続いていくのでしょうか?

「おっしゃる通り、グローバルなビューと、ローカルな姿勢というのがデロイトの強みです。サイバーセキュリティですので、グローバルでしか対応できないような課題というのはあるんですが、結局クライアントに一番近いのはローカルであって、そこをおろそかにしてはいけない。これを私は『グローカル』と呼んでいるんですが、各国の言語や文化を大切にしつつグローバルにつながるということがとても大切なことだと思っています。日本のマーケットは拡がっていくだろうし、今後もスペインとしては一緒にやっていきたいと思っています」

―グローカル、いい言葉ですね。今日はどうもありがとうございました。

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Security Online編集部(セキュリティ オンライン ヘンシュウブ)

Security Online編集部翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供する企業セキュリティ専門メディア「Security Online」編集部です。デジタル時代を支える企業の情報セキュリティとプライバシー分野の最新動向を取材しています。皆様からのセキュリティ情報をお待ちしております。

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