エンタープライズの逆襲
まずは現状認識から。ムーアの法則(CPUの微細化)は限界に来つつある。1つのCPUで伸び悩むなら複数束ねればいいという発想から、メニーコア化が進んでいる。結果的に複数のサーバーノードを集約するという流れになる。
当初はHadoop、そしてSparkなどオープンソースを中心に分散処理技術が出てきていたところ、神林氏は「いまはエンタープライズが逆襲してきている」と指摘する。マイクロソフト、オラクル、SAPがIntelの次世代アーキテクチャであるRSA(注:現在ではRSDという言い方になっている)で集約化を進めてきている。ただしラックスケールアーキテクチャだと設定などが難しくなるため「徐々にアプライアンス化に進む」と神林氏は見ている。マイクロソフトやオラクルのようにクラウドサービスを提供しているところはクラウドに実装していくことになるという。
過去に比べると、近年では分散データベースでもトランザクションが現実に利用可能となるほど技術発展が進んでいる。目標はRDBの置き換えで、まず、クエリの最適化については、コストベースとなるところは現状のRDBと同じ路線であるものの、単ノードではなく分散化した状態だとコスト計算量が増大するため、工夫が必要なところ。
というところで、本題となる将来予想に移る。テーマはトランザクション。神林氏は「IT技術のなかで最も理論化されている機能」だそうだ。基本はMVCCとなる。問題はコミットプロトコル。当初はSSIが有力だったものの、近年ではSILOが登場してきた。いずれもOCC(楽観処理)で高速バスを必要とする。
直近ではスケールアップ優先のSILOやFoedus、スケールアウト優先のFaRMがある。後者はマイクロソフトが進めており、まだ知名度は高くないものの「注目してください」と神林氏は強調する。両者の違いはネットワークをまたぐかどうか。どちらの方向に倒れるかどうかは「個人的には中間に行くんじゃないかな?と考えています」と神林氏。