モバイルの活用がビジネス変革のカギに、高まるモバイル開発の重要性
EZ編集部:デジタルトランスフォーメーションを成功させている企業に特徴はありますか。
相澤氏:デジタルトランスフォーメーションやビジネス変革で言えば、近年消費者がスマートフォンを使い始めたことは革新的だと思います。アプリが利便性を提供し、オムニチャネルなどうまくクラウドのパワーを生かしてプロモーションできるようになりつつあります。事例ですと、北欧ではマクドナルドのアプリがクーポンをパーソナライズして面白いです。ユーザーの購買履歴を蓄積し、かなり細かい粒度でクラスタを作成し、クラスタごとの好みや購入時の商品組み合わせなどを分析し、個人に適したプロモーションを提供できています。キャンペーンの参加率向上、客単価向上にもつながりました。モバイルアプリだから個人と購入商品を特定でき実現できました。
もう1つ、アラスカ航空はクラウドファースト、モバイルファーストの志向が非常に強く、クラウド利用、モバイルアプリ利用を進めています。利便性向上はお客様に対してだけではなく従業員に対しても重要であるとCIOは考えています。例えばキャンセル待ちアプリでは、キャンセル待ちのお客様が希望の便に乗れるようになると荷物も移動しないといけません。荷物を預かるスタッフもタブレットで通知を受けてすばやく荷物を移動できて離陸時間を守れて喜ばれています。スタッフにも適切な情報を渡せるとサービスレベルが向上できるだけではなく、ビジネスの発展も期待できます。パソコンのOSはWindows中心ですが、スマートフォンは多様です。そのため1つのソースから多様なプラットフォームに対応できるクロスプラットフォーム開発が重要となります。マイクロソフトならXamarinが有効です。あとアプリは作って終わりではなく改善が大事です。開発、検証、フィードバックなど全てのサイクルを管理していくのが大事です。
井上氏:これまでインターネットといえば PCからの利用が主でしたが、いま若い世代は特にスマホなどのモバイルデバイスからの利用が主流になっています。そのため、これからのアプリやソリューションの設計、開発はまずはモバイルからアクセスされることを前提にシステム設計を行うようにマインドチェンジする必要があります。
相澤氏:今の若い世代はメアド持っていないか持っていてもほとんど使っていません。LINEで済んでしまうから。ビジネス上のお客様とのつながりもこれを考慮する必要があります。
甲元氏:時代により違いますね。電子メール初期は新人に電子メールの使い方を教えたものですが、次第に必要なくなりました。今学生はメールを使わないので、再び新人に電子メールの使い方を教えないといけません。しかし電子メールはそのうちなくなるかもしれませんね。
井上氏:メッセージだと迅速に送れますからね。
甲元氏:先の事例に補足すると、もともと製造業など、実際のお客様がどのように使っているか知りたいという要望がありました。例えば自動車なら、どのお客様がどの車を好んでいるかなどです。そこでモバイルは格好のツールになります。リアルタイムにデータをパーソナライズできるスマホは大事です。
井上氏:そこに電子マネーやFinTechが混じってくるとどんどん変わってきますね。
甲元氏:いまインフルエンザはTwitterなどソーシャルデータでブーム分析しているそうなんです。かつては厚労省からの情報でワクチンの準備をしていたのですが、今は適切なタイミングで準備できるようになっているようです。
相澤氏:今みんな罹患したことをTwitterに書き込みますからね。
甲元氏:いまいろんな場面でモバイル開発の必要性が高まっています。そうすると複数のモバイルデバイスやPCなどの対応、いわゆる「クロスプラットフォーム対応」が不可欠になります。昔からそのようなニーズはあるのですが、良いソリューションは多くありませんでした。
井上氏:今は技術進化が速くなっています。かつてのように年単位のスパンだと遅れてしまいます。テストの必要もあるけど、早くリリースしなくてはなりません。速度感を重視するなら、CI/CD の導入やクロスプラットフォーム開発は欠かせません。別々に作るのではなくコードを共通化したほうが迅速に展開できますから。バックエンドもクラウドを活用しサービスを共通化してAPI化していく必要があります。ますますこれから盛んになると思います。
甲元氏:ITRの最近の調査でも、アジャイルやDevOpsに対する関心が高まっていることがわかっています。システム開発や修正を短いサイクルで回すことに対する理解は広がっています。
井上氏:企業の競争力にも関わってきています。
相澤氏:たとえば、さきほど紹介したアラスカ航空の場合、コードの共通化は8割です。先日マイクロソフトが開催した「Tech Summit」のイベントアプリもおおよそ8~9割はXamarinでコードを共通化できています。一般的なビジネスアプリなら、このくらい実現可能だと思います。
甲元氏:共通化していない残りはどういうところですか?
相澤氏:それぞれのOSの特徴を活かしたUIやUX部分です。そこは個別開発するという選択肢があり、これらは個別開発を選択しました。
甲元氏:コード共通化を極めるあまりにUX(User Experience 、ユーザー体験)が悪くなったら本末転倒です。個々のデバイスの強みを活かしたUIやUXにするためなら、それは健全ですね。Xamarinユーザーに特徴などありますか?
井上氏:もともとマイクロソフト系の開発ツールを使っている人がモバイル開発をするときに使い慣れた環境のほうがいいですので、Xamarinを選んでくださっています。
相澤氏:アメリカのコカ・コーラでオムニチャネルアプリでも同様です。これまでバックエンドのシステム開発者がモバイルアプリ開発をすることになり、Xamarinを選んでくれました。一昔前までモバイルアプリ開発は特別でしたが、今はXamarinでクロスプラットフォーム開発が簡単にできます。デザイナー機能を使えば画面も見たまま作れます。いまクロスプラットフォームはすごく開発しやすくなっています。
井上氏:バックエンドのサービス化とクライアント側のアプリケーション開発まで同じC#言語を使えるのは大きいです。それはXamarinを使うメリットにもつながってきます。
相澤氏:エンジニアのリソースの観点からも重要です。AndroidとiOSの両方に対応したアプリを作るとき、「エンジニアがいない」という問題が発生して「じゃあやめましょう」と頓挫してしまう。笑い話みたいですが現実の話です。これからは単一のスキルセットで開発できると知ってもらいたいです。
甲元氏:ITRの調査でも国内における開発言語の利用シェアはJavaとC#が大きいことがわかっています。これは、数年前から変化がありません。この先10年はJavaとC#が主流であることは間違いないでしょう。
井上氏:Xamarinは今までのマイクロソフトの開発環境としては大きな動きだと言われています。
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