先進技術に対するハードルをできるだけ低く設定する
Azure 活用アセスメントを通じて、既に多くの企業がMicrosoft Azureを使ったIoTやAIに大きな可能性を見いだしているという。例えば、とある製造企業に対して設備故障の予兆検知の仕組みを提案した際には、単に「センサーを通じてデータを収集して機械学習にかける」だけでなく、よりユーザーの導入ハードルを低くすべく、独自の工夫を盛り込んだという。
「センサーから収集した生データをいきなりMicrosoft Azureのマシンラーニングに投入しても、思うような結果は得られませんし、膨大なコストが掛かってしまいます。そこで私たちは、あらかじめマシンラーニングのアルゴリズムに適した形にデータを変換する方法を考案し、実際にそれが動く仕組みをお客さまに体感していただきました。こうして導入のハードルをなるべく低く設定することが、お客さまがIoTやAI活用への第一歩を踏み出す大きなきっかけになると考えています」(豊田氏)
このほかにも、高価な画像認識装置の代わりに汎用のビデオカメラを使って、安価に工場内の導線分析が行える仕組みや、Twitterのつぶやき内容の分析をMicrosoft Azureのマシンラーニングを使って手軽に行う方法などを考案し、実際に顧客の要望に応じて動かして見せることで、多くの企業がクラウドやIoT、AIを一気に身近なものに感じられるようになったという。
こうした手法は、まさに同社が重視するフィジビリティスタディーの取り組みそのものだといえる。逆にいえば、同社にとってのコアコンピタンスはフィジビリティスタディーであって、個々の技術要素はそのための道具に過ぎないとも豊田氏は述べる。
「今はクラウドが私たちのやり方に最もマッチしているのでクラウドを積極活用していますが、現在のクラウド利用の主流であるIaaSの利用だけでは、お客さまにとってのメリットはさほど多くないとも感じています。今後はクラウドも構築指向からサービス指向へとシフトし、SaaSのようなサービスを複数組み合わせて利用する形態が一般的になってくると予想しています。またそうなれば、クラウド間にまたがる共通認証基盤の存在がクローズアップされるはずです。当然、Microsoft Azureもそうした機能を今後強化していくでしょうから、私たちも将来を見据えた上でより有効活用していきたいと考えています」