民法が120年ぶりに改正
民法が120年ぶりに改正されることになります。現在2017年の120年前というと、1897年ですから、日本は明治30年です。「戦前」「戦後」という言葉で表現すれば、1897年は日露戦争の「戦前」で、日清戦争の「戦後」です。2017年9月現在、世界最高齢の方(日本人)は110歳代ですので、1897年を生きた人は、一人もこの世におられないことになります。平成29年の私たちが昭和を思い出すのと同様の感覚で、明治30年の人達は、「江戸は遠くになりにけり」と思っていたかもしれません。
このように、はるか昔に締結された法律ですから、現在の感覚と合わない事もたくさんある事でしょう。改正されるのは民法の債権に関する部分で、2017年5月26日に成立し、6月2日に公布されました。施行は公布から3年以内と定められていますので、2020年までに施行されます。改正はおよそ200の項目でなされており、そこには、情報システム契約にも関わる重大な法律改正が含まれています。2020年にやってくるのはオリンピックだけではないのです。
情報システム契約に関わる部分だけではなく、「保証人」に関することや「法定利率」「マンション等の賃貸契約終了時の原状回復」などなど、私たちの日常生活に関わる重要な法律改正が含まれていますので、ご興味があれば法務省のWEBサイトをご覧ください。
瑕疵担保責任が無くなる?
情報システム関連の契約方法は「請負契約」「準委任契約」「労働者派遣契約」の3種類が一般的ですが、瑕疵担保責任が関係するのは「請負契約」です。
「請負契約」はシステム開発ではシステムそのもの、付随するドキュメント等を完成品として納品する完成義務があります。
なお、民法改正により、現行民法では作業に対して報酬が支払われる準委任契約においても、仕事の完成に対して報酬を支払う方式の契約が可能となります。本稿では詳細説明は省きますが、請負の完成義務とは少々異なります。
請負契約における瑕疵担保責任とは何なのかということを改めて説明しますと、完成品に瑕疵=傷・欠陥があった場合に保証する責任があるという事です。システム導入で言えば明らかな仕様実装ミスや重大なバグ等が対象となりますが、今回の改正で、瑕疵担保責任という表現は法律から消えることになりました。