IoTのオーケストレーションサービス
enebularはウフルが、2014年からシステム構築の現場から得たノウハウを基に提供してきたクラウド連携サービス。クラウドの各種サービス、データベースなどGUIでつなぎ連携させるというもの。様々なITの資産(アセット)を組み合わせ、全体的な調和をつくりあげるということから、「IoTオーケストレーションサービス」とウフルの園田社長は語る。「開発」「運用」「アセット」のコンポーネントから構成し、エッジとクラウドをつなげることで、IoTシステム全体のデータの流れを設計し、運用を支援する。
今回発表された「エンタープライズ・プラン」は従来の、enebularとコンサルティング、インテグレーションを組み合わせ、製品企画、プロトタイピング、運用までを支援するというもの。
「IoTへの取り組みが進展してきたが、データが充分に活用されていないなどの課題もある。ウフルはシステムの境目にある課題をつないでいくことで解決を提示してきた。コンサルティングからPoC、プロトタイプ作成、インテグレーションから運用までを一貫してつないでいく中心にenebularを置く」と専務執行役員の八子知礼氏は語る。
enebularは、膨大な量のデバイスが生成するデータを、AIや可視化により利活用することを容易にする。エッジ側にインテリジェンスを持たせ、学習結果に基づいて最適化していく、自律分散協調型のシステムの構築が可能で、迅速なレスポンス、通信量・ストレージ容量の削減、高いセキュリティを実現するという。
専務執行役員CTOの古城篤氏は、「クラウドとゲートウェイ、エッジの3層をシームレスに管理できる」として連携のケースを紹介した。たとえばクラウド側はAWSのIoTプラットフォームを使い、エッジ側はアームのチップを組み込んだデバイスを使うというように、各社のクラウドサービスをまたいで管理することができるという。
ウフルはこれまでも、Node-Redのコミュニティにコミットし、enebularのセンサーのデータフローを管理する進めてきた。enebularを用いることで顧客と対話しながら、各種のアセットの構成管理やデータフローの作成などもおこない、より迅速なプロトタイプの提示も可能になるという。また近い将来には、機械学習・AIのプラットフォームサービスとの連携や協業も行うことを示唆した。
enebularのユーザーとして、アームの内海社長、菱洋エレクトロの齊藤氏、NECの森山氏、村田製作所の山縣氏がパネルディスカッションをおこなった。各社ともウフルのこれまでのインテグレーションの実行力や、コンサルティングから実装までのスピードを評価しているという。
アームの内海社長は、「デバイスのアーム製品にはセキュリティ機能が実装されているが、世界中に数百億出荷されているチップを統合的に管理・運用する技術を持つパートナーが必要だった」として、ウフルとパートナー契約を結んだと言う。また村田製作所の山縣氏は、先頃発表された仮想センサーによるIoT製品の「NAONA」がウフルとの協業によって可能になったことなどを語った。