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「損益分岐点分析」による経営シミュレーション-事業計画の判断への応用

2013/07/24 08:00

前回は、管理会計の入り口に位置する損益分岐点分析の基本的な考え方とキーワードについて、セルフ式うどん店の事例で説明しました。損益分岐点分析を行う目的、損益分岐点分析によって明らかになる経営情報(固定費、変動費、経営安全額、損益分岐点の売上高、限界利益)の意味や使い方です。前回に引き続き、さらに損益分岐点分析のポイントを掘り下げます。特に、「限界利益の変化」「変動費・固定費の変化」を反映したシミュレーションを行い、経営判断や事業計画に応用できるのです。セルフ式うどん店の事例をさらに掘り下げて理解を深めましょう。

利益を大きくするために必要な2つのキーワード「経営安全額」と「限界利益率」

 前回のセルフ式うどん店のデータを確認しましょう。なお前回を読んでいない方は、まず読んでから、今回の内容を確認してください。

(月間利益計画データ) 
  • 客単価は450円を見込む
  • 客単価(1食)あたりの見積原価
    原材料費120円、消耗品費15円 水道光熱費35円 合計170円
    (注)消耗品費は、客席で使う調味料、お茶、紙ナプキンなどです。
  • その他のデータ
    人件費250万円/月 店舗設備費等180万円/月 合計430万円
  • 可能な製造・販売量は17,000食/月
  • 従業員数 8名(1日8時間換算)*今回追加した情報です。

 *解答にあたっての注意点:損益分岐点を求める公式を使うことや、求める計数を「X(エックス)」として方程式を解く方法は、“特別に指定がない限り”行なわないでください。

  • Q1:損益分岐点の売上高では、固定費=【限界利益】となっている。
  • Q2:【固定費】を回収した時点の売上高を損益分岐点の売上高という。
  • Q3:損益分岐点を超えた売上高である【経営安全額】に含まれる【限界利益】が利益となる。

 Q1のポイントは、固定費=限界利益が成り立つ時の売上高が、損益分岐点の売上高だということを理解していることです。

 Q2の「固定費を回収する」とは、固定費と同額の限界利益を稼いだということです。うどん店の例で確認してみます。損益分岐点の売上高691万1,100円に到達した時点では、430万円(≒691万1,100円×62.2%)の限界利益を稼いでいます。稼いだ430万円は、固定費と同額である点を確認してください。62.2%(=客単価あたり限界利益280円÷客単価450円)は限界利益率です。

 Q3は、特に重要です。うどん店の問題2(目標利益18万円/月を得るための売上高を求めよ)と関係が深い質問です。問題2では、経営安全額28万8900円、限界利益率は62.2%でした。経営安全額に含まれる限界利益は17万9696円(≒28万8900円×62.2%)で、目標利益18万円と一致します(端数処理の関係で目標18万円にはなりませんが、これは計算誤差です)。

 Q3のポイントは、「経営安全額」×「限界利益率」=「利益」ですから、経営安全額が大きいほど、限界利益率が大きいほど、利益が大きくなることです。また、経営安全額が大きいということは、損益分岐点を大きく売上高が超えていることを意味します。事業計画では、この2点をどう実現するかを考えることが必要です。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。


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著者プロフィール

  • 千賀 秀信(センガ ヒデノブ)

    公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」と...

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