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IFRS対応 2015年までのロードマップ~企業のとるべきアプローチ

  2010/02/10 07:00

企業会計において、国際財務報告基準「IFRS」という新しい波が日本にも押し寄せてきている。
IFRSによって財務諸表の書き方が変わる、条文主義から原則主義会計に変わる、といった情報が企業の経営層や財務関係部署に飛び交ってもいる。IFRSの詳しい定義や報告書の基準についての解説は、別掲記事に委ねるとして、ここでは、経営におけるIFRSの位置付けを確認したうえで、具体的な導入アプローチについて考察したい。

経営課題としてのIFRS

 2009年12月現在、IFRSは、一部企業を除き、主に経理・財務担当者の関心ごとといった印象がある。しかし、IFRSへの対応は、単に経理上の対応ではなく、経営課題として捉えるべきだと考えている。

 むろん、そうはいっても、企業経営者の中には「法律で決められるからといって、効果が見えないものにやたら投資はできない」といった考えの方もおられるだろう。非上場企業の場合は、こうした考え方でも問題ないかもしれない。

 しかし、株式市場から資金調達する立場の上場企業であれば、ましてや今日の世界経済を鑑みると、そうはいっていられない。IFRSを契機に、既存の経営基盤を徹底的に見直すと共に、世界中の投資家に通じる透明性の高い財務報告を出すことで資本調達力を向上させることが、大淘汰時代の世界経済で生き残るためには必須なのである。

 IFRSの特徴の一つに、原則主義会計というものがある。すなわち、IFRSではあくまで原理・原則は示されるものの、具体的な対応については企業の裁量に任せる、というものである。従来の会計手法では、ともすれば、教条主義的な細部の規定をクリアすれば「適正」と判断されてしまい、報告書だけでは「本当に資産運用がバランスよくされているか」といった点が見えにくくなる傾向があった。

 また、市場や投資家から見えにくいだけでなく、経営陣でさえ財務諸表からは自社の状況を正しく認識できなくなってしまう事態すらありえた。アメリカや日本では、監査が適正であっても債務超過、粉飾などで破たんした大企業が問題となったことは記憶に新しい。しかし、IFRSの原則主義を活用することで、経営者は、あるべき論に立ち、自社の経営の本質を反映した財務報告を作成しやすくなるのである。

 また、IFRSをきっかけに、これまでバラバラだったグループ各社のITシステムや業務をIFRSベースで統一する企業も出てくるだろう。グローバル共通の経営基盤を構築すれば、業務効率化によるコスト削減のみならず、経営統制力・ガバナンスの向上にもつながるだろう。あるいはまた、よく言われるように、IFRSの大きな特徴として従来のPL重視からBS重視へ移行することが挙げられるが、これは将来の企業価値をあげることを重視する企業文化づくりにもつながる。

 このように、IFRS導入には様々なメリットが考えられるが、もちろんその効果は企業ごとに異なる。各企業がいかにIFRS導入を進めていくべきか、その対応アプローチについて本稿でご紹介したいと思う。まずは、復習になるが、IFRS導入のスケジュールについて確認しておこう。

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著者プロフィール

  • 鈴木 大仁(スズキ ヒロヒト)

    1989年、早稲田大学商学部卒業。同年、アクセンチュア入社。大手メーカー、総合商社、メガバンク、電力会社等、さまざまな企業のERP導入に携わる。2005年より現職。

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