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第3回 世界第1位の電子政府はどのように生まれたのか?韓国が目指す国家情報化戦略

  2010/12/24 07:00

韓国の電子政府は15年の年月を経て、完成に向かっている。直近の盧武鉉前大統領は、電子政府の実現を、政府改革・行政改革の主軸と位置づけ、大統領によるトップダウン体制で大鉈(おおなた)を振るった。

韓国の電子政府15年間の歩み

 韓国の電子政府は15年の年月を経て、完成に向かっている。直近の盧武鉉前大統領は、電子政府の実現を、政府改革・行政改革の主軸と位置づけ、大統領によるトップダウン体制で大鉈(おおなた)を振るった。

 資源に乏しい韓国が国力を高める上で、常に世界の変化を先取し続ける、“革新の気風”を絶やすことはできない。ましてや行政業務が国力の増進の足かせになることは決して許されなかった。折しも、情報通信技術は急速な進展を見せていた時期だ。

 そうした背景のもと、韓国では国政課題の1つとして電子政府の推進事業を採択したのである。 韓国政府が目指したのは、国民の中に民主主義の精神を今一度浸透させ、国民の主体的な国政参加をいっそう促すこと。行政の風通しを良くし、自浄作用を持たせること。また、行政府の業務を支える“仕組み”を、情報システム基盤そのものに楔(くさび)として打ち込み、民主主義の後退を防ぐことであった。

 国政レベルの課題として電子政府化の推進を採択した政府は、その対象となる業務やシステムの範囲をほぼすべての行政部門に拡大し、要求される目標レベルについても、過去に例を見ない水準まで引き上げた。

 この時、国民の反応は良好だった。韓国では、1999年にインターネット利用人口が1,000万人を突破して以来、企業や家庭でのパソコン利用が急速に普及し始めていたからだ。

 盧武鉉前大統領が立候補した大統領選挙でも、支援者グループがホームページを立ち上げ、そこで様々なメッセージの発信や意見交換を行い、また選挙費用を直接、国民から寄付してもらうことで、政治家と財界人の癒着を断ち切ったという経緯がある。

 地盤や資金力を後ろ盾にしなくても、インターネットを活用して支援の輪を拡げれば選挙に勝てることを自ら証明した盧前大統領が、行政改革と国民向けのサービスの質的向上の手段としてインターネット技術を活用することはごく自然な成り行きであり、支持者を中心に国民の多くがそれを歓迎した。

 政府が2003年4月17日に開催した、第1回目の国政課題会議の席上、就任間もない盧大統領は、政府革新および電子政府連携推進の意志を、次のように表明した。

 「政府は、行政組織ならびに、行政組織により提供される機能やサービスの質が自ずと向上するように導いていく必要がある。公務員の仕事の進め方や業務プロセスを見直して行政の透明化を図り、電子政府の推進に向けて注力していく」。

 韓国では大統領に選出されてから就任するまで、3か月余りの時間がある。その間、大統領職引受委員会を立ち上げ、政権引受準備を進めるように法律で定められている。大統領当選者として、ほぼすべての面で現職の大統領と同等の待遇を受けながら、各省庁から必要な人材を派遣してもらう。

 盧政権の大統領職引受委員会では陣容を整えた後、3つの電子政府ビジョン、3大国政課題、4大国政目標を発表した。 電子政府の目的は、国の進展にとってブレーキとなりうる、省庁の壁や非効率な行政業務を改革することにあった。政府と国民が直結する、国民参加型の新しい行政のあり方を目指すことが、政権立ち上げ当初から明示されていたと言える。(次ページへ続く

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