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博物館が実践する新しいデータ活用のあり方 Androidで博物館を3倍楽しむ!~東京国立博物館「とーはくナビ」レポート

  2011/03/22 00:00

 重要文化財の音色を聞く

 こちらは「金銅五種鈴」と鎌倉時代に作られた密教の道具。「鈴」の字が含まれているので、何らかの音が鳴るのだろうが、どんな音色なのかは全く分からない。

見慣れない楽器の鑑賞は難しい
見慣れない楽器の鑑賞は難しい

 そこで、博物館が用意したのがこれ。

重力センサーを使って利用者の動きに合わせて鈴が鳴る
重力センサーを使って利用者の動きに合わせて鈴が鳴る

 指示の通りに端末を振ると、イヤホン越しに鈴の音が聴こえる。意外にも涼やかな音色は、ガラス越しにゴツゴツとした外見を見ているだけでは、とても想像できなかった(録音されているのは類似品の音声)。

ナビに従って、次の展示コーナーへと進む
ナビに従って、次の展示コーナーへと進む

 コースの最後に指示されて向かったのは、収蔵品の保存業務を紹介する展示コーナー。約11万点にも及ぶ収蔵品はいずれも後世に受け継ぐべき国の宝。その維持管理のために博物館のスタッフが支払う努力の一面を紹介している。とはいえ、「舞台裏」のお話なので、他の展示コーナーに比べると地味な印象になることは否めない。展示コーナーも自体も一番奥にあるため、ツアーで案内されなければ、足を運ばなかったかもしれない。

館の最奥部に新設された「保存コーナー」
館の最奥部に新設された「保存コーナー」

 この展示コーナーは動画を中心とした構成。「展示ケースの湿度を調整するために、博物館が使用する『調湿剤』は合計で1.5トンにも及ぶ」などといった動画を見ると、展示ケースの中の「調湿剤カセット」にも興味と親近感がわく。展示コーナー自体は、ガラスケースが2~3台並べられた狭い空間だったが、ITを使うと様々な情報を付加できると実感。

写真や動画で裏方の保存業務を紹介する
写真や動画で裏方の保存業務を紹介する

 アンケートでも展示コーナーの中で一番印象に残ったと答える来場者もいるらしい。部屋を出た所でコースは終了。受付で端末を返却して終了となる。

入り口への順路もナビゲート
入り口への順路もナビゲート

 一見すると、ITとは無縁のように思える博物館という空間だが、本来は触ることのできない展示品を動かしたり、実物を見ながら製作過程を体験したりするなど、「とーはくナビ」がうまくマッチして鑑賞体験を濃密にしている。テクノロジーを活用することで、物理的な制約に囚われることなく、利用者にとって必要な情報を届けることに成功している印象を受けた。

 今回のご紹介したのは「リニューアルエリア体験コース」のごく一部。ご興味のある方は、3月31日(木)までの期間中に実際に足を運んでいただきたい。



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