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IT Initiative Day(AD)

ビッグデータと既存データを統合したエンタープライズ基盤の構築を - 日本テラデータ 金井氏

IT Initiative Day/ビッグデータ時代のビジネス戦略 (2012.1.23) 日本テラデータ セミナーレポート

 ビッグデータはすでにバズワードではない。爆発的に増大するデータ、それもこれまでは分析対象にならなかった新しいタイプの膨大な非構造化データをビジネスに使わない手はない - 1月23日、東京・ベルサール九段で開催された「IT Initiative Day 2012 ビッグデータ時代のビジネス戦略」において、日本テラデータ コーポレート・エバンジェリスト/エグゼクティブ・コンサルタント 金井啓一氏はこう断言した。かつてない量のデータ、そしてかつて見たことがないタイプのデータに、日本企業はどう向きあうべきなのか。本稿では、日本のDWH草創期からデータ分析をビジネスに活かす戦略を説き続けてきた金井氏によるセッション「ビッグデータを取り込む~そのビジネス活用戦略と最新動向」の内容を紹介していきたい。

"ビッグデータ"と従来のデータの違いとは

日本テラデータ
コーポレート・エバンジェリスト/エグゼクティブ・コンサルタント
金井啓一氏
日本テラデータ コーポレート・エバンジェリスト/エグゼクティブ・コンサルタント 金井啓一氏

 金井氏はまず、これまでの分析は「過去データの取り込み」、つまり出荷や販売、購買などの取引結果をDWHに取り込んで行う分析が主だったとする。だが経営のスピード化が進む現代においては、これらの過去データに頼った予測やアクションだけでは、インサイトを引き出し、新しい価値を顧客に提供していくことは難しいという。取引には記録されないデータ、たとえばWebログデータ、レシートデータ、トレーサビリティデータ、さらにはソーシャルデータ、モバイルデータ、センサーデータなど、これまで"未活用データ"としてDWHに取り込まれずにいた新しいタイプのデータを積極的に活用していくべきと金井氏は提案する。

 こうした未活用データはいわゆる非構造化データが多く、ひと括りに"ビッグデータ"と呼ばれることも多いのだが、金井氏はビッグデータという言葉を以下のように定義している。

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 許容可能な経過時間内で、通常利用しているツールを利用して、データの収集・管理・処理することのできる能力を越えるデータのこと。サイズは、常に変化しており、1つのデータセットで、10テラバイト程度から数10ペタバイトにまで及ぶ。

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 つまりWebログやソーシャルデータ、センサーデータといった非構造化データはもちろん、「SQLで発行してRDBMSで管理するような構造化データもビッグデータに含まれる」と金井氏は言う。ビッグデータの定義はベンダや識者によって異なることが多いが、長年に渡って世界のトップ企業にDWHポートフォリオを届けてきたテラデータならではのビッグデータへの見解として参考になる。

ビッグデータ活用への市場の期待と取るべき戦略

 IDCによれば、「2020年までには世界中のデジタル情報の量は44倍まで増加し、想像も及ばない35ゼタバイト近くにまで達する」という。まさしくビッグデータ時代の到来である。そして、現在、世界中のデジタルユーザがソーシャルネットワークを介して網の目のようにつながり、ソーシャルグラフを形成している。1人のユーザが発した情報はあっという間に伝播し、いまこの瞬間においても膨大な量の情報 - ビッグデータが世界中をかけめぐっているのである。

 また、企業においても"データのビッグデータ化"は着実に始まっていると金井氏は言う。多くの業界で明細データの量が急増、数百テラバイトから、企業によっては数十ペタバイトにも上る。たとえばeコマースではクリックストリームやWebログが、製造業ではマシンデータやセンサーデータが急増している。これらのビッグデータから知見(インサイト)を導き出し、その知見を活用して収益につなげること、すなわちビッグデータに適切に対応するための新しい戦略がいま、企業には求められている。

 ビッグデータに適切に対応するための戦略とは何を指すのか。金井氏は大きく以下の3つが重要だと説明する。

 1. 新顧客戦略 … 最も重要なのはビッグデータでもソーシャルメディアでもなく顧客。データやSNSの向こうにいる顧客を正しく理解するため、複数の顧客識別子(既存チャネル、Webサイト、ソーシャルメディアなどで発生する購買顧客のID、メールアドレスなど)を統合する必要がある。データの統合なしで顧客の理解は無理

 2. 新マーケティング戦略 … 従来までの"企業と人"の関係ではなく、これからは"人と人"の関係が重要になる。Webログやソーシャルメディアの分析から関係性の強弱を見据え、マスと個の両面からアクションを取る

 3. 品質管理/顧客サービス … 生産ラインや製品使用中に発生するリアルタイムのセンサーデータと既存データベースを統合して、事故や故障の予測や品質改善、盗難防止サービス、料金の適正化などに活かす

構造化データも非構造化データも - ビッグデータを支えるテクノロジ

 いずれの戦略においても、重要となるのはビッグデータを既存データと迅速に統合していくプロセスである。そのためにはやはり、ビッグデータの処理に適したテクノロジが求められる。それがMPP(Massively Parallel Processor)であり、MapReduceシステムであり、Hadoopフレームワークである。

 テラデータは、世界最大級のビッグデータ活用企業とも言われるeBayのほか、数多くの先進的なデータ活用事例を成功させた企業を顧客にしている。たとえばHadoopおよびMapReduceとTeradata DWHを連携させることで、顧客にパーソナライズした新提案を行う証券会社や、不正使用を未然に防ぐクレジットカード会社、ソーシャルグラフマッピングで音楽好きなユーザどうしの結びつきを利用し、ミュージシャンの格付けやベンダ販売の楽曲を増加させたMySpace Music、交通量や天候情報、地理情報などさまざまな非リレーショナルデータを統合し、事故発生パターンを予測分析してドライバーの安全を確保するスペイン内務省交通局、など多くのビッグデータ事例がすでに公開されている。そしてこれらの企業に共通する特徴は、先に指摘したように既存データとビッグデータの連携を上手く図っているという点だ。

 テラデータはもともとSQLによる大容量のデータ分析を非常に得意とするベンダである。だが、ビッグデータ時代の到来を感じていた同社は2011年4月、非構造化データの分析に強いアスター・データ・システムズ(Aster Data Systems)を買収し、同社のソリューションを取り込んでいる。アスターの強みは、特許を持つSQL-MapReduce技術で、その関数を使えばSQLで非構造化データも扱える点だ。テラデータはアスターを手にしたことで、数百テラバイトから数十ペタバイトのデータを管理するRDBMSであれば既存のDWHを、サイズにかかわらずリレーショナルではないデータや非構造化データであればアスター、またはApache Hadoopで対応することが可能になったことになる。加えて、ビッグデータ分析に適しているMPPアーキテクチャを採用しており、シェアードナッシング方式によるリニアなスケーラビリティを実現している点も強みだ。

ビッグデータ活用を可能にするテクノロジー TeradataとAster Dataが実現する広範囲な分析
ビッグデータ活用を可能にするテクノロジー TeradataとAster Dataが実現する広範囲な分析

 金井氏は最後にまとめとして、「増え続けていくデータをビジネスに活用するには、どんなデータでも広範囲に扱えるITインフラが必要であり、あらゆるビッグデータ分析を提供できるのがテラデータ。そしてこれからの時代、もっとも重要なことは既存のデータとビッグデータの統合であり、両方を統合したエンタープライズ基盤をつくること」と総括した。既存のデータも新しいタイプの非構造化データも"統合"してこそ、ユーザが自由に使える環境となる。そしてそれが企業の知見を導き、新たな価値を創造する機会が増えれば、ビッグデータが本当に"活用"のフェーズに入ったと言えるときなのだろう。

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3769 2012/07/26 13:34

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