アクセンチュア株式会社執行役員金融サービス本部 統括本部長の中野 将志氏は、「昨年、アクセンチュアは金融機関へのRPA(Robotics Process Automation)導入の推進を発表し、この1年で理解と導入は進んだ。しかしRPAやAIは手段に過ぎない。欧米の金融業では向こう10年で非デジタルの人員を70%削減の方向で動いているのに対し、日本での動きは遅い。これまでの個別業務最適化のための自動化ではなく金融機関の全業の変革が必要」と、その背景を語る。
ACTSは、異なるデジタルソリューションを1つのプラットフォーム上で連携し、顧客体験(サービス)の提供から顧客関係管理(CRM)に至るまで、一貫した機能を提供するソリューション。加えて、アジャイル開発やDevOpsにも対応する開発環境が用意されているため、新規ビジネスの創出、新商品・サービスの市場投入のスピードを高めるという。
アクセンチュアは金融機関に特化したチームでここ数年取り組んできた。デジタル変革支援として、ふくおかフィナンシャルグループ様の金融サービスプラットフォーム「iBank」事業、第一生命保険株式会社、ネオファースト生命保険株式会社様の健康増進アプリ「健康第一」などの実績がある。ACTSはこれらの実績から汎用化をおこないフレームワーク化したもの。
ACTSを構成する機能群としては、1)パーソナライズ/ビッグデータ分析とAI/機械学習、2)IoTデバイスとの連携を可能にする外部/新規サービス導入、3)社内の基幹システムや外部の既存システムとのデータ連携の3つコンポーネント群で構成される。
金融サービス本部マネージング・ディレクターの下野崇氏は、「RPAの導入は進んだものの、従来の人間の作業を自動化しているだけでは限界がある。プロセスそのものを見直すZBP( Zero Based Process)が必要」と語る。
たとえば、アクセンチュアでは海外大手銀行の海外送金プロセスの見直しを行ったところ、従来プロセスには22の類似プロセスがあり部署ごとのオーバーヘッドが存在した。これらを部署を超えた5つのプロセスに集約し、業務の大胆な効率化が実現できたという。
ACTSによるデジタルフレームワークを最大限活かすことで、数十年変化のなかった金融業界の業務プロセスを再設計し、AIやRPAによる自動化の「次」に段階に移行することを提唱した。