ソニー株式会社が開発した「Prediction One(プレディクションワン)」は、機械学習を用いた予測分析ソフトウェア。データ分析の専門家やデータサイエンティストでなくても操作できるシンプルで直感的なユーザーインターフェースが特長。
提供するのはソニーネットワークコミュニケーションズ。同社は20数年継続している「So-net」や、高速インターネットサービス「NURO」、IoTサービスなどを展開する中、これまでも機械学習による製造業の検査用の画像判別やディープラーニング向けのAI開発用のソフトウェアを提供してきたが、今回はより幅広く一般の人が使え、プログラミングを必要とせず、数クリックで予測分析できるものにした。また、最適なモデルの選択やデータの前処理に関する独自開発の技術を搭載する。
「たとえば、営業が顧客の成約率の予測、業務管理の需要予測、生産管理の故障予測、人事の業績や退職の予測など、幅広い職種の人がビジネスの現場で使えるものにするとともに、予測理由をわかりやすく可視化することで、結果を説明しやすくなることに重点を置いた」(ソニーネットワークコミュニケーションズ 渡辺潤氏)
予測分析については、ソニーのR&Dセンターと、ソニー本体、金融/不動産などソニーのビジネス部門が連携し、技術・ノウハウを蓄積し、UIなどの改善をおこなってきた。
今回提供される「Prediction One」は、ノートPCやデスクトップにダウンロードするパッケージソフト。クラウド型やWebサービス型のツールのAI関連サービスがある中で、あえてパッケージソフトにしたのは、「顧客や業務関連のデータの社外への送信が敬遠されがちなこと、データアップロードの待ち時間がかからないこと」(ソニー R&Dセンター 高松氏)が理由だという。
ソニーグループの活用の実績として、SREホールディングス(旧ソニー不動産)の例が紹介された。同社では顧客の不動産売却の問い合わせに対して、これまで売却可能金額を電話や対面で提示し営業していた。従来の方法だけでは、売却にいたらず、他社に乗り換えたりする顧客も多かった。
そこで、過去の問い合わせのあった顧客リストから「追客優先リスト」を作成し営業をおこなった。リストでは予測分析による追客成功確率を算出し優先度づけをおこなった。この施策によって、1000顧客あたり8時間以上の作業削減効果が見られたという、
また、So-netではダイレクトマーケティングのROIの向上で成果をあげ、ソニー損保では、コールセンターの入電予測によてオペレータ配置も最適化の効果が得られたという。
本ツールは無料で提供される。一般企業の導入支援とコンサルティングについてはSREホールディングス株式会社がおこなう。