米アクセンチュアは、今後3年間でビジネスに大きな影響をもたらす重要なテクノロジーのトレンドを予測した年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2020(テクノロジービジョン2020)」を、2月12日(現地時間)に発表した。
今回の調査は、日本を含む世界の企業や組織の上級役職者およびIT担当役員6000名以上を対象に実施され、中国、インド、イギリス、アメリカの消費者2000名を対象にした調査内容も含まれる。
同レポートでは、「ポスト・デジタル時代を生きる - 企業が『テック・クラッシュ』を乗り切るには」と題して、“ひと”がかつてないほど多くのテクノロジーを働き方や暮らしに組み込んでいる一方で、企業や組織が必ずしもそのニーズや期待に対応しきれていないことを明らかにした。
調査結果を踏まえて、同社は「テクノロジーに対する反発(テック・ラッシュ)」と表現される今日のビジネス環境を、「“ひと”のニーズや期待と、それにそぐわないビジネスモデルやテクノロジー活用方法の不一致(テック・クラッシュ)」と再定義している。
同レポートでは、企業が「テック・クラッシュ」を取り除き、“ひと”とのより強い信頼関係によって成り立つ新たなビジネス価値を提供するために、今後3年間で抑えるべきテクノロジートレンドとして、以下の5つを定義している。
- 体験の中の「私」(The I in Experience)
- AIと私(AI and Me)
- スマート・シングスのジレンマ(The Dilemma of Smart Things)
- 解き放たれるロボット(Robots in the Wild)
- イノベーションのDNA(Innovation DNA)
「体験の中の『私』」とは、個人が「自分でコントロールできず、蚊帳の外に置かれている」と感じてしまう一方通行の体験を、企業が双方向性を持った体験に変えていけば、個人の選択肢の幅が広がり、“ひと”に積極性をもたらすことを表している。
「AIと私」とは、AIが日々進化する中で、企業は信頼性と透明性を担保しながら、AIを組み込んでいくため業務のあり方を再考する必要があることを表している。
「スマート・シングスのジレンマ」とは、企業がデジタル体験を起点にした新たな製品を模索する中で、製品は常にベータ版であり、製品を所有するという基本概念が揺らぎ始めている時代の到来に備える必要があることを表している。
「解き放たれるロボット」とは、5Gの登場によりロボティクスの活用がさらに加速していく中で、企業は自社の未来を考え直す必要性に迫られることを表している。
「イノベーションのDNA」とは、企業が分散型台帳、AI、拡張現実、量子コンピューティングといった、かつてないほど多様な破壊的テクノロジーを管理し、市場が求める速さで進化するためには、自社独自のイノベーションのDNAを構築する必要があることを表している。