日立ソフトウェアエンジニアリング(以下、日立ソフト)とセールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は9月6日、都内で会見を開き、両社が協業して日本郵政公社のオンデマンド・プラットフォームの提供を開始したことを発表した。「お問い合わせ等報告システム」を構築し、9月から順次稼働している。
既に発表されている約5,000ユーザへの提供に、今回の40,000ユーザが加わることで、日本郵政公社は世界最大規模のオンデマンド・プラットフォーム・ユーザになった。同システムには、CRM機能がなく基本機能とプラットフォームのみを持つ「Salesforce Platform Edition」が用いられている。
日立ソフトの産業システム事業部 事業部長の植村明氏は、日本郵政公社にSalesforceのプラットフォームによる提案を行った理由として、「短期開発・導入コストの低減を実現可能」「カスタマイズが容易」「関連システムとの連携や拡張性」「直感的に分かりやすいUI」「高度なセキュリティによる内部統制の強化」などを挙げ、落札から2カ月間、10名弱の開発体制で、システムを構築したと述べた。開発は、大半をもともとセールスフォースにある機能のカスタマイズで行い(ドラッグ&ドロップなどによる操作)、一部の機能のみ、ApexやJava、Ajaxなどで実装したという。落札価格の6億1千万円には、トータル19カ月分のユーザフィーや保守費用も含むとし、オンデマンド・アプリケーションに比べ機能が制限されている分、ライセンスフィーは従来のものに比べ、かなり安く抑えられているようだ。
日立ソフトでは、2006年8月にSaaS事業を立ち上げ、翌9月にセールスフォースとパートナー契約を締結し、SaaS事業の本格展開を開始していた。今後は、SIの技術力・社内システムでの適用実績を活かして、データセンターなどを含めたSaaSによるトータルサービスを提供していきたいという。
また、セールスフォース代表取締役社長の宇陀栄次氏は、「発表してからわずか5か月で大規模な事例が実現したことにより、Salesforce Platform Editionが大きなビジネスチャンスであることが証明できた。今後は様々なアプリケーションの追加や、他システムとの連携を強化しながら、プラットフォームのビジネスを広げていきたい」と述べた。また、グローバルなビジネス展開においてもセールスフォースは有効なパートナーであることを強調した。