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2027年度までのICT市場を予測 ウィズコロナでDX加速が続く見込み

 野村総合研究所(NRI)は、2027年度までのICT(情報通信技術)とメディアに関連する主要5市場(デバイス/ネットワーク/コンテンツ配信/BtoC/BtoB)について、国内市場における動向分析と市場規模の予測を公開した。

デバイス市場:ウィズコロナの生活スタイルに合わせたサービスやDX分野への対応

 パンデミックからの復興に向けて各国とも巨額の資金投入を予定しており、市況の好転が期待されるという。資金の向かう先のひとつとして循環型の経済システム「サーキュラーエコノミー」に対する世界的な意識の高まりがあるとしており、デバイスメーカーは今後、使用する材料に気をつけたりする必要があるとしている。

 5G端末の普及については、サービス提供エリアの拡大が進んでいる点や、対応端末が相次いで登場していることから、2024年度には国内の5G端末は約2,740万台まで拡大すると予測(図1)。

 高精細(4K・8K)テレビは、2021年7月~ 9月に開催された東京オリンピック・パラリンピックが買い替え需要を後押しし、2027年度には約2,730万世帯まで普及するとしている(図2)。

 インターネット接続可能テレビの保有世帯も、買い替え需要により、2027年度には約3,480万世帯まで拡大するという(図3)。

 また、3Dプリンターには、多品種生産対応、オンデマンド生産対応、新形状・新機能の実現という提供価値があり、大量生産から適量生産へのシフトに向けて重要な役割を果たすことが世界的に期待されている。3Dプリンターを「デジタル製造業」の生産を担うアセットと捉え、ものづくり企業は上流から下流まで事業体制を再構築することが求められるという。

ネットワーク市場:オンライン活用の加速とセキュリティ需要の高まり

 2021年の官製値下げによる影響を受けて、携帯電話料金は大きく値下がりした。さらに総務省によるMNP手数料無料化やSIMロック原則禁止、携帯電話事業者各社のeSIM対応により、事業者間の流動性が高まるとしている。

 テレワークやオンライン教育などのICTサービスが拡大したことにともない、インターネット回線には通信の安定性や速度がより重視されるように。光ファイバーの価値は高まる方向で、固定ブロードバンド回線加入件数は、2027年度末には約4,320万件と予測(図4)。

 法人向けセキュリティ市場は、DXへの取り組み加速に加え、新型コロナウイルス感染拡大にともなうテレワークやWeb会議、クラウドサービスの利用増がセキュリティ対策のさらなる充実と強化を後押し。2027年には、約1兆2,770億円にのぼるという(図5)。

コンテンツ配信市場:巣ごもり消費による動画配信サービスの拡大

 コロナ禍でのデジタルシフトがコンテンツ産業に大きなインパクトを及ぼしている。「巣ごもり消費」の1つとして動画配信サービスの人気が高まり、加入者が増加している。2027年度の市場規模は約4,180億円になるという(図6)。メガプレーヤーを中心に、コンテンツの囲い込みが進んでおり、収益源の多様化の動きも加速している。

 また、新型コロナウイルスによる影響で広告市場全体が縮小傾向の中、ネット広告は堅調に成長を続ける見込み。AIや金融工学のノウハウを活用し、インターネット上で出稿と広告枠のマッチングを行うAdTechの活用が進むとしている。AdTechによって生み出されるインターネット広告市場は、2027年に約2兆5,730億円まで拡大するという(図7)。

BtoC市場:BtoC事業者は新たなプレーヤーが市場をけん引

 「EdTech(教育)」「スマートペイメント」「SporTech(スポーツ)」「BeautyTech(美容)」の4つの分野について動向分析と市場予測を実施。

 インターネットを介したスポーツ関連の動画配信サービス市場は、東京オリンピック・パラリンピックなどにより動画配信の視聴習慣が浸透し、2027年度には600億円を超える規模に成長するとしている。IoT機器を活用したスポーツ用品やサービスの市場は、50 ~ 60代以上の世代のスポーツや健康への関心の高まりにより拡大し、2027年度には500億円を超える規模になるという(図8)。

 BeautyTech(美容)市場は、在宅美容ニーズの高まりから家庭用美容機器が市場を牽引し、2027年には約4,160億円規模に拡大すると推計される(図9)。

BtoB市場:加速度的に進むデータ蓄積・データ活用

 企業内で利用される「ファクトリー IoT」、「スマートシティプラットフォーム」、「不動産テック」、「HRTech」、「建設テック」、「プライバシー Tech」の6つの分野について予測。

 国内のHR Tech(人事・人材開発)市場については、働き方や採用形態の多様化にともない人事業務が複雑化傾向にある。人事制度の設計・改善のサイクルを高精度に回すことに注力するためにも、市場に出回っている様々なHR Techサービスを活用し、オペレーション業務の効率化を進める動きが進んでいるという。HR Techの市場規模は2027年には約6,620億円の規模となると予測される(図11)。

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