セールスフォース・ジャパンは9月12日、業種向けのSaaS製品であるSalesforce Industry Cloudの最新情報を発表した。従来のSalesforce CloudやService Cloudとの違いは、Industry Cloudでは、Salesforce CloudやService Cloud上のSaaSに業界特有のUI、ロジック、データモデルを標準機能として実装する形になり、全体としてバージョンアップの対象になることだとする。
Industry Cloudは日本では、2016年から「Financial Service Cloud」として提供され、開発期間の25%短縮、Time to Valueの50%高速化、ROIが188%などの効果を実現している。今回、対象業種を「Manufacturing Cloud」、「Consumer Goods Cloud」、「Health Cloud 」など多業種に拡大した。
直近のアップデートとしては、企業の環境データを収集・分析・報告して、温室効果ガ ス排出量削減につなげる「Net Zero Cloud」、消費財メーカーによる卸売・小売事業者へのインセンティブや販促などのプロセスを管理する「Trade Promotion Managemen 」(2023年提供予定)などがあるとする。
たとえば、保険業界での顧客のライフイベント(子供の誕生、入院など)の共通コンポーネントを活用し、ヘルスケア業界などの別の業界の機能として利用することが可能になる。
またデータ処理機能としては、大量データ集計のために「CRM Analytics」をエンジンとして採用。CRM上の大量データを分析し、業界向けのインサイトの提供も行う。
セールスフォース・ジャパン マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャーの前野秀彰氏は「業界のベストプラクティスを横に展開し、共通機能化することで、開発効率を最大化し、確実な価値をお届けできる」と語った。
金融機関向けには業界ごとの複雑なビジネスプロセスを自動化するための「標準テンプレート集」も用意した。Financial Services Cloudのユースケースとしては、保険契約者の契約種別に応じた動的な顧客ポータルサイト提供 やバックエンドのプロセス自動化などがある。
またこうした業界の基幹システムとのインテグレーションにはMulesoft の技術が用いられており、各業界の基幹システム連携の事例が蓄積されているという。
企業の事例としては、東京海上日動あんしん生命、東京きらぼしファイナンシャルグループなどが紹介された。