デジタルアダプションプラットフォームを提供するPendoは、2023年にビジネスの成長に必要となる、新しい業務プロセスやソフトウェアに関する予測を発表した。以下は同社による寄稿となる。(発表元:Pendo)
デジタルアダプションプラットフォームの導入が2023年に加速
デジタルによる仕事環境を快適にするための「デジタルアダプション」に注目する企業が増えている。
デジタルアダプションプラットフォームとは、他のソフトウェアプロダクト、アプリ、ウェブサイトの上に階層化されたソフトウェアで、ユーザーがプロダクトを操作する際に重要なタスクを案内し、コンテキストに沿った情報を提供することで習熟を促進するもの。新しいユーザーがアプリケーションにすばやく慣れ、習熟するのに役立つだけでなく、新しい機能の定着化を促進するための継続的な教育を提供する。
ところが、従業員が重要な業務プロセスやソフトウェアを実際に利用する際には、アプリ内のガイドだけに頼っていては不十分。デジタルアダプションプラットフォームを利用する場合、アプリ内トレーニングを確実に提供することは基本中の基本であるが、導入するソリューションが業務で果たす役割をきちんと理解することも同様に重要となる。
デジタルアダプションプラットフォーム導入後、メリットを享受するのは誰か
1. 業務オペレーション部門とDX推進部門
デジタルアダプションプラットフォームを活用することで、業務オペレーション部門と社内DX推進部門は、優れたビジネス成果につながる、より良い意思決定を組織のために行うことができる。
業務プロセスとワークフローの合理化、最適化、効率化やフィードバックの一元的な収集と管理など、業務オペレーション部門と社内DX推進部門はデジタルアダプションプラットフォームにより生産性を高め、従業員の体験を改善し、社内向けのソフトウェアを最適化することができる。
2. 従業員
デジタルアダプションプラットフォームは、業務効率の促進を助けるため、従業員自身にも大きなメリットがある。サポートが必要な従業員とそうでない従業員を特定することもデジタルアダクションプラットフォームを導入するとアプリ内で可能になる。
例えばサポートが必要な従業員にだけ、アプリ内のサポートや通知機能により、タイムリーで属性に合わせた適切なガイダンスを表示し、習熟度が高い従業員には同様のサポートを提供しないでおくなど、ユーザーにあわせた対応が可能となる。
また、デジタルアダプションプラットフォームは、マネージャーが従業員の働き方を理解し、ビジネスに不可欠なさまざまな業務プロセスのフローと効率を向上させるのに役立つ。さらに、従業員自身はアプリ内でフィードバックすることができるため、このプロセスに自身の意見を反映させることがより簡単になる。
デジタルアダプションプラットフォームを導入の際に留意すべき5つのポイント
1. 仕事の進め方を理解する
デジタルアダプションが成功した企業では、データに基づいたアプローチを取っている。1つのプロセスで利用するアプリや、企業向けソフトウェアの平均的な機能の数は膨大だが、すべてのプロセスにおいてウォークスルーやガイドが必要とは限らない。
その代わり、効果的に定着を促進するためには、新入社員をうまくオンボードさせ、その結果サポートへの問い合わせが減少するように、主要なワークフローを選択し、最適化することが必要となる。アプリ内のガイドが多すぎると、従業員は気に留めなくなり、トレーニングの効果も失われるため、適切な場所でインパクトを与えることが重要となる。
では、トレーニングが必要な場所は、どのように判断すればよいのか。それは、データ分析から始まる。デジタルアダプションプラットフォームは、従業員のソフトウェアの利用状況を機能ごとに、アプリ内またはアプリ間で把握する豊富な行動分析機能を備えている。このようなデータの基盤があれば、アプリに不必要なガイドを追加する必要がなくなりますし、トレーニングが最も効果を発揮する場所を正確に特定することができるようになる。
データドリブンのアプローチでデジタルアダプションを進めると、各従業員が使用しているソフトウェアの経験に基づいて、ガイダンスをパーソナライズすることができるようになり、企業で進めているDXがさらに一歩前進する。
アプリケーションの利用状況によって従業員をグループ分けし、適切なターゲットメッセージを届けることで、従業員が実際に必要とするトレーニングのみを提供し、ウォークスルーを効果的に実施することができる。
2. ソリューションガバナンスとコンプライアンスの推進
データドリブンのアプローチでデジタルアダプションを取り入れることで、社内ガバナンスを維持することができる。アプリケーション内およびアプリ間のウォークスルーがソフトウェアの活用と定着をサポートすることは重要だが、そもそも従業員が提供されたアプリやソフトウェアを正しく使用しているかどうかを測定できるようにすることも同様に重要となる。
従業員がそれらを適切に使用しない場合、パフォーマンスが低下し、KPIが達成されない場合がある。極端な例では、ソフトウェアのコンプライアンス違反は、罰金や懲役刑さえも意味する。業種に関わらず、従業員がログインしていることだけでなく、どのようにソフトウェアを使用しているかを確認することは非常に重要となる。
3. 従業員の声を吸い上げる
製品を導入するほとんどの場合、一方的なコミュニケーションで終始している。企業は従業員にソフトウェアを最大限に活用できるようにトレーニングを提供するが、そのトレーニングが効果的に行われていることをどのように確認しているのかが問われる。デジタルアダプションの成功の鍵は、従業員の声を聞き入れることにある。
最も一般的な方法は、アプリ内の投票調査やアンケートを使って定性的なインサイトを収集することだ。投票調査やアンケートは、従業員のフィードバックを求め、やり取りしながらデジタル導入に取り組む有益な方法だが、対応せずにいると、フィードバックはまるでブラックホールに吸い込まれたような状況が起きかねない。
4. トレーニングの効果を定量化
アプリケーション内およびアプリ間のウォークスルーやトレーニングを提供することは、重要なことの1つだが、最も効果的なデジタルアダプションプラットフォームは、デジタルアダプションが行動変容に与えている影響を測定することができる。
例えば、問題のあるワークフローに関連するサポートへの問い合わせの削減を測定したり、アプリ内ウォークスルーを構築したことで、従業員が重要な他のプロセスに費やす時間がどれだけ短縮されたかを計算することができる。
デジタルアダプションプラットフォームを選ぶ際には、効果を検証することができるものを探すことが極めて重要となる。
5. 迅速な立ち上げと実行
デジタルアダプションプラットフォームは、現実的な問題の解決に役立つため、驚異的な成長を遂げているが、結局のところ、デジタルアダプションプラットフォームも会社がうまく導入する必要があるエンタープライズソフトウェアの1つに過ぎない。
人気のあるデジタルアダプションプラットフォームの中には、学習曲線が急でインターフェースが肥大化し、専門サービスチームとの数週間に及ぶ協議が必要なため、導入が困難なものもある。デジタルアダプションプラットフォームが適切に導入されないと、多くの場合、使われず放置され、問題を解決せずにさらに悪化させることになる。
デジタルアダプションプラットフォームの導入を検討する際には、成功に導き、直感的で使いやすいソリューションを選択することが非常に重要となる。
従業員が新しい業務プロセスとソフトウェアを効果的に利用することを重視している企業なら、デジタルアダプションプラットフォームをすでに検討している可能性が高いといえる。最も効果的なデジタルアダプションプラットフォームは、十分な情報に基づいたアプローチを取ることができ、利便性が高く、最適化されている。
なぜなら、デジタルアダプションプラットフォームは、新しい機能の利用を促進するために設計されており、その目的を達成せずに高価なシェルフウェア(持っているけどほとんど使っていないソフトウェア、ハードウェア資産)になることは決して許されないからだ。