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日本企業のAI利活用が加速、リスクへの対応には懸念か──デロイト トーマツ調査

 デロイト トーマツ グループ(以下、デロイト トーマツ)においてAI活用およびガバナンスに関する研究活動を行うDeloitte AI Instituteは、国内外における企業のAI活用に関する「グローバルAI活用企業動向調査」の第5版を発行した。

 同調査は2022年4月から5月にかけて13ヵ国、2,620名のグローバルビジネスリーダー(うち日本は100名)を対象に実施。デロイトが発行したグローバル調査の抄訳に加え、「日本の視点」としてデロイト トーマツのプロフェッショナルによる考察・分析を掲載しているという。

加速するAIトランスフォーメーション、価値拡大に向けて今すぐ実行すべき4つの重要アクション

 同調査では、企業がどのようにして新しい未来への道を切り開こうとしているのか、また、今日では実現されていない価値源泉がどこにあるのかを調査。その結果、AIの可能性を引き出して企業全体で価値を高めるために、ビジネスリーダーが実行している4つの重要アクションがわかったと述べている。

  • 組織文化とリーダーシップに投資する:従業員の期待値はますます高まっており、回答者の82%がAIによって仕事の満足度が高まると回答。リーダーは、組織文化を変え、新しい働き方を確立し、AIでより大きなビジネス成果を出すために、多くのことを行うべきである
  • 業務を変革する:高い成果を出している組織は、低い成果にとどまっている組織よりもAIアプリケーションにおけるROIのトラッキング、AIモデルのライフサイクル公開戦略の文書化などAI運用のベストプラクティスを導入しているとのこと。組織がAIを導入できるかは、新しいテクノロジーの固有の要求に対応するために業務をどれほど上手く再設計したかによる
  • テクノロジーと人材を組み合わせる:AI活用の初期段階にある組織は、AI人材を備えた小規模企業の買収や対象を絞った採用を通じて、外部人材を取り入れる傾向がある。組織は、人材のスキルセットか、あるいは既にパッケージ化されたソリューションかに関わらず、現在利用できるスキルセットに基づいて、AIへのアプローチを戦略化する必要がある
  • 価値が増大するユースケースを選定する:組織のAI活用を推進するための適切なユースケースの選択は、ビジネスのバリュードライバーによって大きく依存するとのこと。それらのバリュードライバーは組織のセクターや業界の状況に影響される
前回調査に比べて日本のAI利活用が加速

 日本企業についても調査しており、前回の調査結果ではAI活用は限定的で、「PoC疲れ」なる用語も定着するほど、実証実験を実施するが実験止まりにとどまるケースが多く、「世界と比べて相当遅れている」という調査結果を公表した。しかし、今回の調査では、日本企業はAI成熟度別のグループにおいて、スターター(AIの少数の導入/低い成果)が減少し、トランスフォーマー(AIの多数の導入/高い成果)が大幅に増加したという。

主なアンケート調査の結果

 今回の調査では、市場におけるAIの取り組みの増加を反映するために若干の調整を加えた以外は、「グローバルAI活用企業動向調査 2021」と同じ基礎分析モデルを使用。国内外2,620名の回答を基にしたAI成熟度の内訳は以下のとおり。

  • トランスフォーマー(多数の導入/高い成果):変革を遂げているが、完全には遂げていない。最も強力なAIの成果に関連する先進事例を特定し、幅広く採用している
  • パスシーカー(少数の導入/高い成果):成功につながる機能や行動を採用しているが、取り組みの数は少ない。正しく取り組んではいるが、AIの規模拡大についてはトランスフォーマーほどには達していない
  • アンダーアチーバー(多数の導入/低い成果):非常に多くの開発と導入が行われている点が特徴。しかし、より有意義な成果を効果的に達成するのに役立つ先進事例を十分に採用していない
  • スターター(少数の導入/低い成果):AI機能の構築に後れを取っている点が特徴。先進事例となりうる行動を取る可能性が最も低いグループ

 AIの取り組みを拡大する際の課題として、「経営のコミットメント」「初回立ち上げ後のメンテナンスまたは継続的なサポート」「組織の日常業務やワークフローへのAIの組み込み」「AI関連のリスク管理」が上位に上がったという。

AIの取り組みを拡大する際の課題
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 一方、日本企業のAI成熟度別グループでの比率を比較すると、日本企業はスターター(AIの少数の導入/低い成果)が減少し、トランスフォーマー(AIの多数の導入/高い成果)が大幅に増加。このことから日本企業のAI利活用が加速しているといえる。

日本企業のAI成熟度別グループでの比率
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 また、AIリスクに関する対応については、グローバルと比較して対応が進んだ項目があるものの、まだ懸念事項は残る状況。生成AIの登場によってAIに対する期待が高まる中、これら懸念事項への対応は急務といえるだろうと述べている。

AIリスクに関する対応
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