2023年7月7日、PingCAPは、NewSQLデータベースカンファレンス「TiDB User Day 2023」を開催した。同カンファレンスは、オンラインとオフラインのハイブリッド方式で催行され、現地には約120名が集まった。
はじめに同社 代表取締役社長 Eric Han氏が「2021年4月に日本法人を設立して以降高い注目を集めており、本カンファレンスにも400人超の参加をいただいている。日本語ドキュメントやトレーニングなどローカライズにも取り組んできており、これからも尽力していきたい」と挨拶すると、講演へと水を向けた。
カンファレンスの口火を切ったのは、PingCAP 共同創業者 兼 CTOのEd Huang氏と同社Senior Architectを務めるSunny Bains氏による講演。「TiDBとMySQLと未来」と題して、諸外国のデータベースに係るトレンドをはじめ、TiDBの最新機能などが紹介された。
冒頭、Ed Huang氏は「従来のやり方が通用しない環境に移り変わる中、スケーラビリティがあり、高可用性かつクラウドネイティブなど、最新の要件を満たした新たなデータベースを構築することにした。MySQLに準じた操作性はもちろん、オープンソースであるということを重要視している」とPingCapの沿革について話すと、エンタープライズ規模の企業における運用や構築における負荷が増しているとして「TiDB Cloud」に係る取り組みを紹介した。
また、ChatGPTなど生成AIが席巻していることに触れると、データ量が増大していく中でコストパフォーマンスを考えた維持管理が必要だとして先日リリースした「TiDB Serverless」に言及。ワークロードのトラフィックにあわせて自動的にスケールアップ/ダウンでき、従量課金制のため費用対効果が良いとして、開発方法を変えるものだと自信をみせる。「昨年末にベータを提供し、7月5日に一般提供が開始された。既に10,000超のクラスタが稼働しており、真にクラウドネイティブなデータベースとして業界を変えられる」と話す。たとえば、「OSS(Open Source Software)Insight」では、6億ほどのGithubのイベントデータから回答を返しているが、旧バージョンのTiDBからTiDB Serverlessに移行しただけで約30%のコスト削減につながったという。「アクセスが集中した際には、ちゃんとスケールイン/スケールアウトできており実証済みだ」とEd Huang氏。将来的にはシームレスな単一プラットフォームとしてTiDBを構築していき、余剰時間でエンジニアの私生活も充実させたいとした。
なお、本カンファレンスの一部講演についてはアーカイブ視聴の機会が設けられるという。