ガートナージャパン(以下、Gartner)は、国内IT子会社の実情に関する調査結果を発表した。
Gartnerは2023年5月に、国内の従業員500人以上、売り上げ規模1000億円以上の企業を対象に調査を実施(有効回答300社)。CIO、CTO、IT担当役員、最高デジタル責任者、最高データ&アナリティクス責任者、デジタル・ビジネス推進担当役員などを対象に、IT子会社の有無について尋ねたところ、「連結対象」「連結対象外」「ITベンダーなどと共同出資」のいずれかに該当するIT子会社があると回答した割合は38.0%だったという。
IT子会社設立の主な理由はコスト削減
IT子会社を持つ企業に、設立している主な理由を上位3つまでの選択で尋ねたところ、最も多く選ばれたのは、人件費の抑制(16.9%)で、続いて、システム開発コストの抑制(13.8%)、システム運用コストの抑制(12.3%)となった。
回答からは、給与水準を親会社より低く抑えることによって、親会社が自ら行うより低いコストで済む(だろう)という考えが根底にあると推察されるとのこと。一方、最近ではデジタル技術やデータ活用など、いわゆるデジタル・トランスフォーメーション(DX)のために新たなIT子会社を設立する例がみられるが、今回の結果では、その割合はまだ限定的だとしている。
親会社から見た喫緊の課題はIT戦略立案能力、受け身の姿勢、スピード感、先進技術の習得
IT子会社に委託している業務の遂行および目的達成についての評価を尋ねたところ、期待どおり、期待未満の割合はともに49.2%で全体を二分していた。さらに、IT子会社に関する喫緊の課題について、重要と考える順に第3位までを尋ねたところ、第1位に選択された割合が最も多かったのは、「親会社の経営課題・戦略を反映したIT戦略を立案する能力の不足」(16.2%)だった。続いて、2番目に多い回答(12.3%)として、「待ちの姿勢、言われたことをやる姿勢で、積極的な提案を行う姿勢が見られない」「先進技術を習得し、その活用について積極的に提案、実装する能力の不足」「スピード感が不足している」の3項目が並んだという。
一方、第2・3位に選ばれた割合を合算すると、「待ちの姿勢、言われたことをやる姿勢で、積極的な提案を行う姿勢が見られない」(33.5%)が最も多く、次に「スピード感が不足している」(30.3%)、「先進技術を習得し、その活用について積極的に提案、実装する能力の不足」(26.4%)となった。第1位として最も多く選ばれていた「親会社の経営課題・戦略を反映したIT戦略を立案する能力の不足」は、第3位までの合算が25.6%で4番目だったとしている。
【関連記事】
・IT運用担当者はキャリア・パスに不安、新技術など習得する機会提供が必要か──ガートナー調査
・ガートナー、「日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル」を発表
・ガートナー、日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクルを発表 生成AIがピーク期に