2023年12月12日、日本IBMは「IBM Research」の取り組みに関する記者説明会を開催した。
IBM シニア・バイス・プレジデント/IBM Research ディレクター ダリオ・ギル(Dario Gil)氏が登壇すると、「生成AIが研究開発の事業化に貢献し、既存ビジネスの拡大にも寄与するようになった」と切り出し、コンピューティングの歴史を振り返りながらAIと並べて「量子コンピューティング」の重要性について指摘。IBM Researchとしては、マルチクラウド・コンピューター、(AIプラットフォームでもある)基盤モデル、半導体技術、量子コンピューティングを柱に据えていると説明する。
たとえば、半導体についてはRapidusを共同開発パートナーに迎え、2nmのAI用チップ「AIU」の研究開発を進めながら、エコシステムの拡大にも注力しているという。
また、AIワークロードの最適化に向けてアーキテクチャを再構築する必要があるとして、AIU以外のチップについて「NorthPole」「Analog AI」を紹介。量子コンピューティングについても「IBM Quantum Summit 2023」で多くの発表を行っており、「ここ数年の進展を見てもわかるように『IBM Quantumシステム』などが“破壊的”なイノベーションを起こしていくだろう」とギル氏。量子コンピューティングに有用性を持たせるためには古典コンピューターとの相互性も欠かせず、今後のロードマップとして下図を提示した。
次に、生成AIプラットフォームに話題を移すと、「watsonx」による企業向けのプラットフォームとして「watsonx.governance」「watsonx.ai」「watsonx.data」を紹介。IBMが擁する下図のような「生成AIスタック」を活用することでデータ活用に寄与できると強調した。
特に、日本語能力もエンタープライズでの使用にも耐え得るような高水準にあると言い、「AIに係るアライアンスも拡大しており、オープンイノベーションを促進している。ソニーやソフトバンク、Metaといった企業はもちろん、東京大学や慶応大学……産官学で数多くの連携を深めている」と説明。学生や従業員に対してAIを利活用していくための下図6分野におけるプロジェクトを提供していくとした。
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