NetApp(ネットアップ)は2026年1月29日、ツアーイベント「INSIGHT Xtra Tokyo」の開催に合わせて、都内でメディアラウンドテーブルを開催。グローバルおよび日本市場での製品・事業戦略について発表を行った。
主要なメッセージとしては、近年の同社が掲げる「ストレージベンダーではなく、データ・AI活用を支える『インテリジェント・データインフラストラクチャ・カンパニー』になる」という意志が改めて示された形だ。2025年10月に米ラスベガスで開催された「NetApp INSIGHT 2025」では、その方針に基づく製品群が新たに発表された。特に注目されているのは、「NetApp AI Data Engine(AIDE)」と「NetApp AFX」だ。これらの製品により、同社が提供するプラットフォーム上で、AIのためのデータパイプラインに必要な要素をすべて実現する狙いがあるようだ。ストレージとデータエンジンの“融合”による、新たなコンセプトを掲げるデータプラットフォームの提供である。
AIDEは、外部ネットワークを経由することなく、ストレージシステム内で直接データにアクセスできるというものだ。データパイプラインの各プロセスをゼロコピーで完結させ、複雑性や煩雑性、非効率性を解消する。AFXは、分散型のオールフラッシュストレージだ。コントローラーは最大128ノードまで対応し、NVIDIAのAIデータセンター構築のためのリファレンスアーキテクチャ「DGX SuperPOD」認定を取得している。
セキュリティやソブリン要件への対応についても強調された。昨年10月には、データの不正検知や復旧機能を提供する「NetApp Ransomware Resilience」も発表されていた。NetAppとしては製品の高度化に併せて、各国で求められているデータ保護の要件に応える現実的なアプローチをあくまでもとっていく構えだ。直近ではハイブリッドクラウド対応も強化し、大切なデータは国内のデータセンターに保管しておきながら、大手のクラウドプロバイダーが提供する最新技術を利活用できる環境をサポートしていくとのことだ。ソブリン要件対応の事例としては、ドイツ政府をはじめとする同国の顧客に対し、求められるデータ主権の水準を満たすクラウド機能を提供していることが紹介された。
支援の形としては、「日本の顧客が解決したい課題や目指す事業展開の姿に寄り添う形で、製品の提供やサポートを行う」と斉藤氏(日本法人 代表執行役員社長)。顧客が描くゴールに最も近いパートナーと密接に連携して、トータルソリューションとしてのAIを提供していくと述べた。
ストレージだけでない、データ・AI活用を支えるベンダーとしての認知やポジションはどう確立していくのか。クリアン氏(CEO)はまず、「NetApp FlexCache」が統合されたことで、オンプレミスだけでなく複数のクラウド環境でも利用が可能となったことに触れた。また、今後のロードマップとしては、幅広く(ゆくゆくはすべての)ONTAPのプラットフォームを対象として、AIDEを搭載する予定だと明かした。オブジェクトストレージのソリューションも統合が図られていくという。「データエンジンを構築する能力そのものはソフトウェアの中にあり、それが最終的にどのインフラであったとしても稼働できるようになる」とクリアン氏は述べた。
加えて、「顧客が望んでいるのは、複数のテクノロジーと統合できるようなソリューションだ」と同氏。クラウドが台頭したときも、クラウドプロバイダーとNetAppが競合することはなく、それぞれを補完し合うような関係性を築いてきたことを挙げる。データプラットフォームの領域に進出することを受け、DatabricksやSnowflakeのような分析系プラットフォームのベンダーと新たに競合するのではとの意見に対しては、これまでと同じように補完的な関係を築いていく考えを示した。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
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