沖縄電力は、グループウェアの刷新を機にサイボウズの「kintone(キントーン)」を全社導入。情報システム部門による厳格なガバナンスを敷いた導入当初から段階的に市民開発を推進し、統制を保ちつつ現場主導で業務改善できる体制を確立しているとのことだ。
また、ワークフロー業務において、年間6万件の書類業務ゼロ、1万5,000時間の業務時間削減を実現しているという。
沖縄電力では、社内の情報共有基盤として長年利用してきたグループウェアのサポート終了が控えていたことに加え、グループウェア上に似たような名前・機能のアプリが乱立し、運用やデータ活用における課題が顕在化していたとのことだ。
開発環境を段階的に開放し、市民開発とガバナンスを両立
アプリやデータベースが乱立する課題を解決するため、kintone導入当初は情報システム部門とシステム開発を担うグループ会社が、部門からの要望を受けてアプリ開発にあたる体制を敷いたという。
しかし、新しいアプリの需要の高まりやkintoneが社内で広く認知されたことにより開発依頼が増加し、2023年に現場でのアプリ開発を解禁。市民開発を解禁するにあたって同社は、現場の裁量と統制の両立を重視し、社内勉強会の開催と技術的なガードレール設置の大きく2つの対応を実施したと述べている。
社内勉強会は2026年7月現在、パソコン業務を行う社員の過半数にあたる延べ400名が受講。また、技術的なガードレールの設置においては、業務領域や情報の性質に応じてアプリの作成領域を分け、市民開発アプリは設定を誤っても意図しない範囲には情報が公開されないようにしたという。
加えて、アプリ作成は申請制とし、リリースには情報システム部門による設定を必要とすることで統制を利かせているとのことだ。

電柱の建て替え工事における調整業務で、年間300時間程度の作業時間削減
市民開発の定着によって、各部門でパッケージ製品では対応が難しい“現場ならではの業務”のアプリ化が進み、現場主導の業務改善が広がっているという。
また、社内業務だけでなく、社外の関係事業者との調整業務でも、kintoneが活用されているとのこと。電柱の建て替え工事において、以前は、電話で外部事業者との工事タイミングの調整を行っていたが、kintoneの社外関係者と情報共有できる連携サービスを使うことで、年間300時間程度の作業時間の削減を実現。情報へのアクセス権をコントロールした状態で、社外の担当者と共同で進捗を確認・更新できるため、伝達漏れや行き違いによる手戻りが発生している状態が改善したとしている。
年間6万件の書類業務ゼロ、1万5,000時間の時間削減を実現
また同社は、kintone導入に際して全従業員が日常的に使うワークフロー(申請業務)を全社活用の入口にしているとのこと。kintoneのワークフローは、海外ツールに比べ、複数人による順を追っての確認・承認や、差し戻しや分岐が細かく設定できるため、段階的な承認が必要な日本的なワークフローに馴染み、紙の承認文化に慣れた社員にも受け入れられると考えたようだ。
導入の結果、承認のリードタイムが多くのケースで半分以下に短縮され、書類が出張中の上司の机で止まっているといった停滞の解消につながったという。これにより、年間6万件の書類業務がゼロになり、1万5,000時間の業務時間削減を実現しているとのことだ。
また、この仕組みがグループ会社にも展開され、グループ全体の業務効率化と一体感の醸成につながっているという。
今後同社は、kintoneの最適化や整理を進めることで、サプライチェーン全体での効率化を達成しながらも、シンプルさと保守性を保ち、誰もが自然に使えるサステナブルな環境へと育てていくことを考えていると述べている。あわせて、業務を通じて自然に蓄積される構造化データを生かしたAI活用も視野に入れているとのことだ。
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